ホンダ フィット プロトタイプ 試乗レポート(1/3)
- 筆者: 竹岡 圭
- カメラマン:本田技研工業株式会社
すべての面で現行フィットを上回る!新型フィットいよいよ登場!
ホンダの誇るコンパクトカー「フィット」。発売は2001年。つまり2007年の上半期というとモデル末期なのにもかかわらず、自動車販売台数は3位という成績はご立派としか言いようがない。もはやコンパクトカーのベストセラーになったと言い切ってもいいほどの存在なのである。
そのフィットがいよいよフルモデルチェンジする。このFMC、日本はもちろんのこと、世界中が注目しているのだ。実はもうすぐ先代になってしまう現行フィットは、日本では96万2000台、世界では115カ国以上で販売され、累計200万台以上が世に出回っているのである。先代を超えることが命題とされる、大ヒットモデルの後のフルモデルチェンジは非常に難しいと言われているが、世界中の人を納得させなきゃいけないとなると、その難しさたるや計り知れない。また、ホンダというメーカーの中でも、販売台数的にかなりの数を担っているモデルであることは間違いなく、いろんな意味で失敗は許されないのだ。まさに背水の陣。そこでフィットの選んだ方向性は「グローバル」という普遍のコンセプトだった。デザイン、使い勝手(広さ)、経済性、動力性能すべての面で現行フィットを確実に上回る!これを命題に開発されたのである。
それぞれのターゲットはこうだ。まずデザインには質感向上。使い勝手ではスペースのさらなる広さの実現。経済性では実用燃費の向上。そして動力性能では1.3Lエンジンでライバルを凌駕する100ps、1.5Lエンジンで120psといずれもパワーアップさせつつ、新採用のトルクコンバーター付きCVTを組み合わせ実用燃費も向上させるという、相反しがちな性能を具現化することとしたのである。また足回りもジオメトリーを一新するなど、よりコンパクトカーらしいキビキビとした運動性能も追求しているのだ。
さらにエントリーモデルであるからして、価格も抑えなければならない。しかし原材料的には1台あたり約300kgは使うとされる鉄が2割、銅が2割、アルミニウムに至っては約5割も上がっているのだ。クルマの売れ行きがイマイチと言われる昨今、ガソリン代もフィットのデビュー時からすると約30円くらい上がっていることを考えても、クルマを購入してもらうためには、販売価格は是が非でも抑えたいところだが、難問山積みの開発だったことは想像に難くないのだ。
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