ホンダ CR-V 試乗レポート

ホンダ CR-V 試乗レポート
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都会でもマウンテンロードでも似合うSUVとして、CR-Vは正当進化した。

CR-Vは1995年にデビューしたホンダのSUV。デビュー当時は、トヨタのRAV4とともにライトクロカンと呼ばれていた。日本での人気よりもアメリカ市場を始め、海外で売れ、発売後5年半で100万台を販売してベストセラーカーになっている。2代目は01年9月に発表された。

キープコンセプトのスタイリングは、フロントからサイド、リアにかけて、ボディ周囲にプロテクトモールをデザイン化して採用している。このモールで、クロカンらしい力強さを表現したのだ。さらにリアゲートにスペアタイヤを装着したワイルド系と、スペアタイヤを床下に収納したシティ系の2タイプを設定。ワイルド系は「パフォーマ」、シティ系は「フルマーク」という区別になった。インテリアはセンターパネルに光りものを用い、上級感とスポーティさを演出した。旧型より確実に進化しているクルマだ。

4速ATバージョンは、誰にでも扱いやすいファミリーユースの仕上がり。

ホンダ独自のVTEC(可変バルブタイミング機構)を組み合わせた、新開発の新世代2.0L DOHC i-VTECエンジンを搭載。116kw(158ps)/6500rpmの最高出力と、190N・m(19.4kgm)/4000rpmの最大トルクを得ている。旧型の2Lエンジンよりも、8ps、0.6kgmのアップだ。もちろん、燃費や排出ガスレベルも向上している。試乗車のミッションは、インパネシフトの4速ATだったが、このエンジンとミッションの組み合わせは加速性能が楽しめない。アクセルを踏み込んでのレスポンスもイマイチ。のんびりと走るファミリーユースにいいセッティングだ。

サスペンションもコーナーやレーンチェンジでのロールは、ユラッとやや大きめ。スポーティな走りには向いていない。気むずかしいところがなく、誰にでも扱いやすいクルマといえる。

低床シャシーの採用で、快適そのものの広々空間を実現した。

「パフォーマ」のボディサイズは全長4490mm、全幅1780mm、全高1710mm。旧型よりも、全長で10㎜、全幅で30㎜だけ大きくなった。しかし、室内はかなり広々とした印象だ。これはグローバル・コンパクトプラットフォームという床の低いシャシーを採用したからだ。このシャシーの採用で、旧型より室内長65mm、高さ20mm、幅35mmも拡大できたという。実際にリアシートは、ドア開口部から床までちょっと段差があるものの、ひとたびシートに座れば高めの着座位置と、リクライニングする背もたれ、広い足元、フラットなフロアなど快適そのもの。フロントシートのウォークスルーもできる。ラゲッジスペースは、リアシートがスライドするおかげで広く使える。右ヒンジで開くゲートがちょっと長めなのは、使いずらそうだ。

リーズナブルな価格設定と環境への配慮。ユーザーへの気配りが伺える。

日本国内でもCR-Vは売れていたが、最大のマーケットはアメリカ市場だ。その証拠のひとつが、MTの設定。日本では、こうしたSUVをMTで乗る人はほとんどいなくなったが、アメリカではCR-Vの販売台数の30%はMTなのだ。

理由は、MTの方が知的に見えるから、という。仕事を離れて楽しむときに、MTを操るほうが知的なゲームをしている気分になれるというのだ。だから、MTの設定はワイルド系の「パフォーマ」だけになる。

旧型が196万円から230万円台の価格設定だったのに対し、新型CR-Vは187.8万円から219.8万円という安めの設定にしている。しかも、排出ガス基準も「優‐低排出ガス」認定を取得しているおかげで、グリーン税制による減税措置も適応される。お金に気を配っている姿勢が、ユーザーにはうれしい。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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