欧州Dセグ個性的スポーツワゴン 徹底比較(1/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:原田淳
日本車のラインナップにおいて、プレミアムなワゴン車という存在がほとんど見当たらなくなった中で、欧州Dセグメントのワゴン車は、むしろ以前よりも勢いを増しているように感じられる。
そのメインストリームとなっているのはドイツ車なのだが、逆に、ドイツ車には飽き足らないニッチなユーザーも少なくない。今回は、欧州Dセグメントの中で、個性的なワゴン車を3台集めた。価格帯は400万円台後半~500万円台後半となる、いずれも“スポーツ”を謳うワゴン車である。
サーブ9-3は、同じGMグループのオペル・ベクトラとプラットフォームを共用するモデル。2005年11月より日本導入され、このほど2007年11月に大がかりなマイナーチェンジを実施したばかりである。よりダイナミックかつスポーティなデザイン、質感向上したインテリア、進化したパワートレイン、HDDナビの設定などが変更点である。225馬力の2.8L V6ターボを搭載する「エアロ」と、出力の異なる2L直4ターボを積む「ベクター」(209馬力)、「リニア」(175馬力)の3グレードが存在するのは従来と同じ。今回は最上級のエアロを持ち込んだ。
159スポーツワゴンは、156スポーツワゴンの後継車であり、セダンの159をベースとする派生ワゴンとして、2006年にデビュー。こちらもGMとの共同開発によるプラットフォームを使用するが、結局アルファのみが使うことになったという経緯がある。2.2L直噴エンジン+2ペダルの6速MTである「セレスピード」という組み合わせと、3.2L直噴エンジン+アイシン製6速AT「Qトロニック」を組み合わせ、「Q4」と呼ばれる4WDを搭載するという、大別して2モデルがラインナップする。今回の撮影車両は、2.2JTSセレスピードである。詳しくは後述するが、156時代はスタイル優先で、ほとんどワゴンとしての使い勝手が望めなかったところ、159ではかなり改善されている。
プジョー407シリーズは、 2005年5月にデビュー。セダンの407と、ワゴンボディの407SWが同時にデビューした。407自体は406の後継モデルであるが、それまでのプジョー車のフラッグシップであった607が導入されなくなり、407はプジョー車のトップモデルとなった。なお、407はシトロエンC6とプラットフォームを共有する。2007年5月に一部改良により、ラインナップが見直され、グレードによる区分を廃し、シンプルに整理された。エンジンは2.2Lの直4と3LのV6の2機種で、2.2L車はZF製4速AT、3L車はアイシン製6速ATと組み合わされる。いずれもマニュアル操作が可能なシーケンシャルタイプである。
この価格帯ともなると、メジャーなドイツ車になにかと目が向いてしまいがちだろうが、今回の3台も、プレミアムブランドの一端であり、いずれもそれぞれ非常に個性的である。そして、それぞれに熱心なファンが存在する。3台の個性、魅力と、ワゴンとしてのユーティリティを探る。
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