300万円台 欧州コンパクトSUV 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
このエンジンをどう捉えるか
SUVテイストのクルマながら、後輪駆動と割り切り、363万円~という戦略的な価格設定で出てきたことが、まずはこのクルマのポイントだろう。
BMWというブランド自体のパワーもあり、機会があればBMW車を所有したいと考えている人は少なくないはず。そんな人にとって、クオリティ感の面では3 シリーズのツーリングに対して落ちるのは間違いないが、大幅に安く、そのわりに大差ないバリューを手に入れることができるクルマとして、このクルマに目が向くのはごく自然の流れ。
今のところ好調なセールスをマークしているというのもうなずける。ただしエンジンについては、上級の25iならいざ知らず、今回のような同価格帯のライバル車に対しても、18iでは、物足りなく感じる人も少なくないのではと思う。
そこをどう捉えるかが、このクルマを選ぶべきかどうかの分かれ道だろう。
プラスアルファが光る
プジョー初のSUVモデルだが、ユニークなのはスタイリングだけでなく、室内のつくりやラゲッジルームに見られる独自の使い勝手もしかり。
室内はSUVとミニバンを足したような利便性があり、後席がフラットフロアなので、横に3人が乗るシチュエーションの多いユーザーにとっても適する。
ラゲッジルームも、テールゲートが上下に分割して開いたり、フロアボードの高さを調整できたり、自動的に充電してくれる懐中電灯がもともと付いていたりと、いろいろなところにプラスアルファが光るマルチパーパスビークルである。
全体として、なかなかコストパフォーマンスの高いクルマに仕上がっていると思う。
そして、これまでプジョー車の大きなネックだったトランスミッションについても、最新の6速ATが与えられており、その点でのライバルに対する負い目もなくなった。
プジョーファンのみならず、既存のSUVに物足りなさを覚えるとか、個性的なSUVが欲しいという人にとって、選択肢のひとつとして挙げる価値のあるクルマといえるだろう。
そつないオールラウンダー
個性的な上の2モデルに対して、いたってオーソドックスである点が、むしろティグアンの持ち味。
さらに、VWらしく基本を決して疎かにしない安心感に加え、ちょっと高級なクルマという趣もあり、両方の性格を巧く併せ持っているといえる。
いずれにしても、同カテゴリーでもっともまとまりのよく、誰にでも薦められる万人向けのクルマである。
価格面でも、パワフルな2リッター直噴ターボエンジンに、フルタイム4WDシステム「4MOTION」を搭載しており、買い得感は高い。また、オンロードでの快適性も申し分ないが、本格的なオフロード走行にも対応できるクルマでもあり、その点では上の2モデルを大きく凌駕するといえる。
ルックス、ドライバビリティ、ユーティリティと、すべてがそつなく仕上げられた、まさにオールラウンダーといえるクルマである。
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