スポーティMクラスハイルーフミニバン徹底比較(2/4)

スポーティMクラスハイルーフミニバン徹底比較
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オーソドックスな中でスポーティなルックス

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ボディサイズをめいっぱい、室内空間として活用したフォルムは、視覚的にもそれが受けてか、販売もずっと好調。2007年の販売ランキングにおいても、5位と健闘している。セレナに日産お得意のハイウェイスターが追加されたのは、デビュー1年後の2006年夏。ただし、走りに関する部分はスタンダードモデルと共通であった。しかし今回のマイナーチェンジで、ルックスの小変更だけでなく、専用サスペンションが与えられた。

もともと現行セレナは、イメージとは裏腹に、けっこう足まわりが固めの設定だった。やや跳ねる傾向もあり、シートを柔らかくすることで帳尻を合わせている印象だった。これほど重心が高く、トレッドの狭いクルマをまっとうに走らせるためには、無理もない話だったのだろう。

そして今回、強化された専用サスペンションが標準装備されたのだが、16インチタイヤはこちらのほうが格段にマッチングがよい。

「ハイウェイスター」らしく、乗り味は、高速道路でフラット感を出し、一般道をスイスイ走るのが得意という印象で、ロールを適度に抑えている。それでいて、従来よりもつっぱった印象がなくなり、突き上げ感や、跳ねる動きが薄れた。

ハンドリングは、こういうクルマなので、あまり粘らせるのも危険との判断からか、いざとなったら早めにバンプラバーにタッチさせて、フロントから逃がして横転させないという味つけ。形状がスクエアゆえ上屋が重いので、重心が高い感覚は3台中もっとも大きいが、意外と横風にも強く、全体の走りのまとめ上げ方はなかなか上手い。

エンジン~ミッションについては、フラットトルクな特性のエンジンと、効率よく変速し違和感を抑えたCVTのおかげで、加速感に不満はなく、CVTの違和感も小さい。ただし、ブレーキには少々難あり。踏み始めの初期にカクンと利いてしまうし、キャパシティがやや小さい。これは人を乗せるためのクルマとしては少々マイナスだろう。エクステリアは、従来に比べてフロントマスクの印象が微妙に変わり、ターンランプ付きドアミラーが与えられた。

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ミニバンであることを忘れさせるフットワーク

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セレナとほぼ同時期に登場した現行ステップワゴンにも、マイナーチェンジを機にスパーダが追加された。スパーダは日産のハイウェイスターよりも大胆にエクステリアを差別化している。

専用のエアロフォルムバンパーやスポイラー、ダーククローム調メッキのフロントグリル、同リフレクター付テールランプ、専用デザインの16インチアルミホイール、専用チューニングサスペンションなど。カスタマイズモデルのような雰囲気がある。

ドライブフィールも、個人的に好みの仕上がり。もともとステップワゴンは、ハイルーフミニバンとは思えないフットワークが身上で、スポーティな走りもこなす。それでいて、乗り心地もそこそこ快適に確保されている。

やはり重心が低いというのは、クルマの走りにとって絶大なメリットがあり、ミニバンともなればますますそのメリットが高まる。クルマの素性として、あまり無理をせずに、いい走りを実現できている印象だ。

それをより生かす形で、よりスポーティ方向にふっているのがスパーダである。専用サスペンションは、フリクション感もなく、ゴツゴツとした固い印象もなく、それでいて期待どおりスポーティ。もはやミニバンであることを忘れさせるフットワークである。

ブレーキに関しても、スポーツカーのような感覚の、踏力でコントロールしやすい設定で、4輪を使って減速する感覚が3台中もっとも高い。

動力性能面では、2L車は4速ATというのが惜しい。今回の他の2台と比べると、ゼロスタートから流れに乗せるまでや、ちょっとした上り坂で、明らかに遅いと感じてしまう。ただし、ステップワゴンの特徴として、上に2.4L+CVT車が設定されているので、どうしても不満であれば、そちらを選ぶといいだろう。

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マスクは好みが分かれるが乗り味は不満なし

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現行ヴォクシーは基本的に従来型のキャリーオーバーである。このフロントマスクを、トヨタでは「緊張感のあるクールフェイス」といっているが、ややマスクが浮いて見えるし、横から見たときなど、どうもフロントとリアセクションが調和がされていないような気もしなくもない。

それでも、若々しいイメージづくりが功を奏してか、ノアよりもヴォクシーのイメージがよいのか、今のところヴォクシーのほうがだいぶ売れているようだ。

スポーティグレードの「ZS」は、エアロ系のスタンダードモデルである「Z」に比べ、価格が10万円あまり高いが、エンジンスペックもだいぶ違うし、実際、体感的にもかなり違う。ZSのエンジンはバルブマチック仕様。エンジンとミッションについては、ZSなので、ハイパワー仕様のエンジンとCVT、パドルシフト付きのものが付くが、このあたりも標準モデルよりも上手くできている。

フットワークは、キャリーオーバーしボディ各部にいたるまで手を入れたシャシーの煮詰めがよく、上手くまとまっている。3列目まで含めて乗り心地がいい。それを実現させるために、従来の不快な振動のもとを、ちゃんと手を入れて剛性を上げている。

また、電動パワステも上手くチューニングされており、ステアリングフィールと、走りの一体感も増している。全体として、もっとも不満のない乗り味を実現しているのは、ヴォクシーだろう。

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デザイン・スペックの総評

いまやミニバンのカテゴリーでも、こうしたスポーティモデルの販売比率は非常に高くなっているという現実がある。スタイリングに関して、今に始まったことではないが、ミニバンといえども、より個性的であることが求められるようになってきた。その傾向が強まっていることを受けて、各車がデザインされたことをうかがわせる。

特に、ハイウェイスターは際立った存在に感じる。ドライブフィールに関しても、おしなべて洗練が著しい。低床、低重心というアドバンテージを持つステップワゴンは、スポーティな走りに磨きをかけ、乗り心地の悪化もさせていない。セレナとヴォクシーも見るからに走ることが苦手そうなパッケージングにもかかわらず、実に上手くまとめている。そして、これらスポーティモデルの仕上がりにも関心させられる。比較すると、やはりもともとの素性に勝るステップワゴン・スパーダがもっとも優れるが、加速の鈍さが惜しまれる。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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