独プレミアム・コンパクト・クロスオーバーSUV 徹底比較(2/4)

独プレミアム・コンパクト・クロスオーバーSUV 徹底比較
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基本4WDから有利な状況では後輪駆動に

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あえてウレタン部分を残したボディパネルなど、無骨なイメージを残したエクステリアや、縦横比による見え方もあって、オフローダー的に映るところだが、実際に乗ってみるとそうでもない。走りの素性は3台の中でもっともオンロードよりといえる。

フットワークは、それなりに重心は高いものの、それを補ってあまりあるセッティング。比較的ストロークのある足まわりをグッと引き締めた味付けとすることで、スポーティなドライブフィールを実現している。軽快かつ確実にラインをトレースしていくさまは、並のSUVとは一線を画し、SAVといわれる所以である。

4WDシステムについて、BMWではもともと、後輪駆動に近いハンドリングの実現を狙ってプラネタリーギア式のセンターデフを用い、前輪に38%、後輪に62%の不均等にトルク配分を行なう先進的なフルタイム4WD方式を採用していた。

ところが、X3では「xDrive」と呼ぶ新システムを採用した。この駆動システムの変更は、オフロードの走破性の向上というよりも、BMWのオンロードにおけるハンドリングへのこだわりの表れといえる。

xDriveは多板クラッチを用いたシステムで、前後輪駆動力配分を、その締結力により制御する。通常の配分は40:60だが、走行状況に応じて100:0~0:100の範囲で瞬時に無段階で連続的に変化させる。

xDriveでは、安定性の高い4WD走行を基本としつつ、コーナーへのアプローチや高速巡航時などの状況では、後輪駆動もしくはそれに近い駆動力配分とするのが特徴的な部分である。

回頭性については、前輪に駆動力がかかっていないほうが有利なのはいうまでもない。こうすることでBMWらしいスッキリとしたステアリングフィールや、ニュートラルステアを実現しているのだ。

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後輪よりの駆動配分とした最新クワトロ

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Q7に次ぐアウディの本格的クロスオーバーSUVモデルとして、A4系プラットフォームをベースとするQ5が加わった。

弟分とはいえ、見ても乗っても、このクラスとしてはかなり大きなクルマという感じがするが、逆にこの大きさに魅力を感じる人も少なくないだろう。

ヘッドランプにウイング式のLED式ポジションランプを備えた特徴的マスクに始まり、柔らかなラインで全身を包んだフォルムは、上品で美しい。

エンジンは、取材車両に使用した3.2L V6直噴と、2L直4直噴ターボが選べ、いずれにもツインクラッチ式の7速Sトロニックトランスミッションが組み合わされるところもQ5の特徴だ。

Sトロニックは、ATに比べてまったく遜色ないとはいえないが、動き出しのギクシャク感はかなり抑えられている。このレベルであれば、ATと同等の使い方ができるだろう。

走り出せば、ツインクラッチ式の美点であるダイレクト感と、瞬時のシフトチェンジが楽しめるのはいうまでもない。

取材車両はS-lineパッケージ装着車だが、フットワークについては、これだけの車体とは思えないほどの俊敏性がある。アウディドライブセレクトを駆使して、乗り味を任意に選択できるところもよい。ただし、ステアリングの重さが速度により不自然なほど変化することと、バネ下の重さがやや払拭できていないところは少々気になるが、それほど大きな問題ではない。

クワトロは、トルセン式の機械式センターデフを基本とするシステムで、従来は前後駆動力配分が基本的に50:50だったが、2006年のS4以降(Q7も同様)の第5世代のクワトロでは、40:60がベースと後輪よりの配分とされた。最大で前輪に65%、後輪に85%を分配する可変分配機能を備えている。

また、従来はトルコンとミッションの間に前輪へのトランスファーを置いていたのだが、第5世代以降ではエンジンとトルコンの間に移動した。これにより、前輪位置が従来より約150mmも前方に移動したことも、ハンドリングと操縦安定性の向上に寄与している。

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安定したトラクションを得られる4MATIC

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2008年秋に日本に導入されたGLKは、ネーミングはGLのKつまり、メルセデスの文法からすると、短いGLクラスとなるのだが、位置づけとしてはMLのコンパクト版というほうがしっくりくるし、基本コンポーネンツはCクラスから譲り受けている。

エッジを効かせたルックスは、メルセデスの中でも独特なもので、コンパクトながら存在感がある。

ハンドリングはメルセデスらしくシュアな味付けで、足まわりのストロークを締め上げて重心高と重さを抑え込むような確かなチューニングがなされている。いかにもオフも走れそうだが、オンでの軽快な走りも印象深く、それでいて高速巡航時のスタビリティも十分に高い。ただし、路面の起伏の強いところではその影響を受けやすく、少々跳ね気味となるのは、やや気になる点ではあった。

GLKに採用された4MATICは、センターデフに多板クラッチを用い、前後駆動力配分の基本を45:55と後ろよりに設定したフルタイム4WDである。前後アクスルが常に一定のトルクでロックされているので、凍結路や雪道などの低μ路においても、安定してトラクションを得ることができるのが特徴。さらに、遊星ギアを用いた従来の4MATICよりも、後輪に対する前輪のレスポンスが向上している。

また、4MATIC車専用にセットアップされた、横滑り防止装置とトラクションコントロールの機能を統合した「4ETS」を搭載し、空転したホイールにブレーキをかけて擬似的にデフロック状態として、低μ路や極悪路での走破性を高めるという機能も持っている。

同条件で比較していないので断言はできないが、今回の3台の中で、悪路走破性については、シーンにより一長一短ではあるだろうが、僅差ながら総合力ではGLKがもっとも優れているのではないかと思われる。

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デザイン・スペックの総評

このカテゴリーのベンチマークになったのは、X3だろうが、xDrive、クワトロ、4MATICと、それぞれ得意とするシステムを駆使して、オンロードでのすぐれた快適性と操縦安定性、オフロードの走破性を両立させている。

ちなみに車検証によると、車両重量および前後軸重は、X3が1,860kg;960kg/900kg、GLKが1,910kg;1,020kg/890kg、Q5が1,960kg;1,070kg/890kgとなっている。

車両重量はボディサイズからイメージするとおりで、いずれもこのクラスとしては標準的といえるものだが、前後重量配分は、X3が前後イーブンにもっとも近くなっていることがわかる。これによるニュートラルなハンドリングは、依然としてX3の美点といえる。

ボディ外寸はQ5が他2モデルよりもひとまわり大きく、取り回しに影響する全幅についても、X3が1,855mm、GLKが1,840mmであるのに対し、Q5は1,910mm(S-lineパッケージ)と大きめになっているので、幅が気になる人は確かめたほうがよい。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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