CX-5/アウトランダーPHEV/ハリアーを徹底比較 ~環境や燃費に配慮したシティ派SUV~(2/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂幸正・和田清志・小林岳夫
CX-5/アウトランダーPHEV/ハリアーを徹底比較 ~環境や燃費に配慮したシティ派SUV~
マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 マツダ CX-5 画像ギャラリーはこちら

【CX-5】躍動感のある外観と高効率なクリーンディーゼルターボ

マツダ CX-5マツダ CX-5

CX-5の外観は、マツダの「魂動デザイン」という考え方に基づく。野性動物が獲物を追いかける時のような躍動感をイメージして、フェンダーやドアパネルに適度なボリュームと張りを持たせた。

フロントウインドウは、取り付け位置を後退させて角度を立てることにより、ボンネットを長く見せている。そのために後輪駆動車のような外観となった。

ただし実際にはエンジンを横向きに搭載する前輪駆動車だから、後輪駆動車のようにフロントピラー(柱)/フロントドアパネルと、前輪の間隔を大きく取ることはできない。そのためにCX-5では、ボンネットが前輪よりも前側へ長く張り出す形状になり、伸びやかな印象の後輪駆動車とは見栄えが異なる。

フロントマスクではグリルが強調され、メッキの縁取りをヘッドランプの下側までウイング状に伸ばした。LEDヘッドランプは薄型で、個性的な顔立ちに仕上げている。

ボディサイズは全長が4545mm、全幅はワイドで1840mm、全高は1690mmだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2700mmで、最小回転半径は5.5mとなる。少し大柄で小回り性能も良好とはいえないが、SUVにはこのサイズが多い。

フロントウインドウを手前に引き寄せたことで前方視界はおおむね良いが、サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げて、ボディ後端のピラーは太めだから、斜め後方と真後ろは見にくい。

エンジンはすべて直列4気筒で、2リッターと2.5リッターのガソリン、2.2リッターのクリーンディーゼルターボを用意した。人気の高いディーゼルは、4リッターのガソリンエンジンに匹敵する駆動力を発揮して、燃料代は軽油の安さもあって1.5~1.8リッタークラスに収まる。

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【アウトランダーPHEV】水平基調のボディは視界が優れ、大容量のリチウムイオン電池を搭載

三菱 アウトランダーPHEV三菱 アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEVのフロントマスクは、ダイナミックシールドと呼ばれる三菱の統一デザインを採用する。左右のフェンダーがフロントマスクまで回り込み、ボディを力強くガードするような形状だ。2015年6月の改良で採用された。

ちなみに発売時点のフロントマスクはシンプルで、ボディの側面もそれに合わせてデザインされた。今は変更を受けたボディの前側が少し重く感じるが、視覚的なバランスは損なっていない。

PHEVのボディサイズは、全長が4695mm、全幅は1800mm、全高は1710mm。全幅を1800mmに抑えたことが特徴だ。最小回転半径も5.3mに収まり、小回り性能もこのサイズのSUVでは優れた部類に入る。

ボディの側面は水平基調で、サイドウインドウの下端を低めに抑えた。ボディ後端のピラーも適度な太さだから、前後左右ともに視界が良い。ボンネットも視野に入るから、市街地でも運転がしやすく感じる。

外観の見栄えは全体的にオーソドックスだが、ボディパネルには抑揚があって平板な印象は受けない。サイズは異なるが、デザインの手法はアウディQ7あたりに似ている。

エンジンは直列4気筒で、2リッターと2.4リッターのノーマルタイプも用意されるが、注目されるのは2リッターをベースにしたPHEVだ。前述のように充電の可能なハイブリッドで、エンジンがホイールを直接駆動するのは、その方が効率が優れている高速巡航時のみ。大半の走行で、エンジンは発電機の作動に使われる。駆動は前後輪のモーターが行うため、エンジンは効率の良い回転をさせることが可能だ。

充電は200Vを基本とするが100Vも使用可能で、急速充電にも対応した。駆動用リチウムイオン電池の総電力量は12kWh。充電可能なハイブリッド車の中では容量に余裕があり、満充電された状態であれば、JC08モード走行で60.8km(プレミアムパッケージとSエディションは60.2km)を走れる。

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【ハリアー】日本のユーザーに馴染みやすい上質感を表現している

トヨタ ハリアートヨタ ハリアー

国内市場に重点を置いて開発されたSUVとあって、外観はトヨタクラウンと同じように上質感が分かりやすい。左右のヘッドランプの中央に配置されたフロントグリルは、半透明のレンズタイプで艶っぽく仕上げた。LEDを使ったヘッドランプとクリアランスランプは、すべてのグレードに標準装着される。

このフロントマスクは、最近のトヨタ車に共通するグリルの開口部を強調したデザインではない。ヴィッツのような手直しをするとバランスを損なうので、これからも今の形状を維持すると良いだろう。マツダのような統一された顔立ちは、メーカーの特色を表現できる半面、車種ごとの個性が薄れる。良いことばかりではない。

ボディサイドは水平基調だが、後端のピラーは斜めに配置され、後方視界はあまり良くない。

ボディサイズは全長が4720mm、全幅は1835mmとワイドで、全高は1690mmだ。最小回転半径は仕様によって異なり、5.3~5.7mとなる。国内市場をねらって開発されたが、サイズと視界は海外向けのSUVとほぼ同じだ。

エンジンは直列4気筒の2リッターと、2.5リッターをベースにしたハイブリッドがある。2リッターのノーマルエンジンでも実用的に不満はないが、動力性能と1500kgを超える車両重量のバランスは、ヴォクシーなどの実用ミニバンと同程度だ。趣味性の重視される上級SUVとしては物足りないから、ハイブリッドを推奨したい。

ハイブリッドは後輪をモーターで駆動する4WDとなり、降雪時の坂道発進などで安定性を高めてくれる。

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デザイン・スペックの総評

SUVはもともと悪路を走破するクルマとして開発されたから、大径のタイヤを装着してフェンダーも大きく張り出す。外観の見栄えは力強い。

一方、ボディの上半分はワゴンに準じた形状で、室内高にも余裕があるから前後席ともに居住性が優れる。車内の最後部には荷室が備わり、リアゲートも装着しているから荷物の出し入れがしやすい。力強い外観と実用性の適度なバランスが、SUVの人気を押し上げた。

注意したいのは取りまわし性で、SUVではコンパクトな車種でも全幅が1700mmを上まわる。今回取り上げた3車種はすべて1800mm以上だ。CX-5とハリアーはデザインに重点を置いて開発され、後方視界があまり良くない。購入時には縦列駐車や車庫入れを試しておくと安心だろう。

今回の3車種はいずれも環境/燃費性能の優れたエンジンを搭載する。JC08モード燃費は、CX-5のクリーンディーゼルターボを搭載する4WD・XDプロアクティブが17.6km/L。アウトランダーPHEVはエンジンを作動させるハイブリッド走行時で19.2km/L。ハリアーハイブリッドの売れ筋グレードは21.4km/Lだ。

レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり135円、軽油が115円、実用燃費がJC08モードの85%で計算すると、1km当たりの走行コストはCX-5のクリーンディーゼルターボが7.7円、アウトランダーPHEVは8.3円、ハリアーハイブリッドは7.4円になる。クリーンディーゼルは軽油を使うために走行コストが安く、動力性能は高いから効率が優れている。趣味性と実用性を併せ持つSUVに適したエンジンだ。

なお、アウトランダーPHEVが充電した電気で走った場合は、東京電力・従量電灯B(昼間電力)で1km当たり4.5円になる。PHEVは充電によって走る距離が伸びるほど、走行コストも安く抑えられる。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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