トール/ソリオハイブリッド/フリードプラス ~スライドドアを備えた、いま人気の最新コンパクトミニバン3車を徹底比較~(1/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
個人的な話題で恐縮だが、愚息が生まれて家族で外出するようになりクルマに対する認識が大きく変わった。
後席にベビーシートやチャイルドシートを装着して愚息を座らせるが、まずはこの作業に手間がかかる。天井が低かったり後席の開口部が狭いと、クルマに乗り込む時、抱えた愚息の頭をピラーにぶつけそうになったりする。後席の足元空間が狭いと、無理な姿勢で着座の作業をせねばならない。
外出する時の荷物も、ベビーカー、ミルク、オムツ、タオルなど大幅に増える。しかもオムツやタオルは頻繁に使うから、スグに取り出せるように、手近な場所に置く必要がある。トランクスペースには入れられない。
長距離を移動する時は、定期的にサービスエリアなどに立ち寄り、車内でオムツを替えたり授乳をさせる。そのためには天井が高く、広いスペースが必要だ。独身の時は予算に合えば好きなクルマを選べたが、子供ができたらそうはいかないと初めて気付いた。
車内が運転する空間から子育ての場所に変わるので、一連の作業が円滑に進まないと危険すら誘発する。例えばミルクの入った哺乳瓶を車内の不安定な場所に置き、それが倒れたとする。授乳と掃除をせねばならず、一気に面倒が増えてイライラする。夫婦喧嘩が始まることもある。その気持ちが運転に影響すると、きわめて危険だ。
従って子育ての期間中は、なるべくそれに適した便利なクルマを使うのが良いと思う。哺乳瓶がスッポリと収まるカップホルダーがあれば、問題が生じる原因のひとつを解消できる。
ちなみに独身の時は、カップホルダーやポケット類、シートアレンジなどでクルマを選ぶのは邪道だと思っていた。クルマの本質的な機能は走行性能、乗り心地、安全性で収納設備などはオマケだと考えていた。ところが子育てには重要なツールだ。今は子育てに使いやすいクルマが多い。
以前はミニバンが中心だったが、背の高いコンパクトカーや軽自動車が増えた。子育てをする親の年齢は20代の後半から40代の前半くらいが中心で、所得が増える過渡的な時期にある。将来に向けた貯蓄も大切で、購入予算やその後の維持費をなるべく抑えたい。
となれば価格や税額が安く、燃費も優れ、広い室内を備えた背の高いコンパクトカーがねらい目だ。
街中で運転しやすく、長距離の移動も快適に行える。そしてこれらのコンパクトカーは子育て世代だけでなく、中高年齢層を含めて幅広いユーザーに適する。背の高いボディはドアの開口部も広く、着座位置が適度だから乗り降りがしやすい。前後席ともに広いので、大切な友人も気兼ねなく乗せられる。売れ筋のジャンルとあって、価格が割安で、安全装備は充実している。このようなクルマを選べるのは、商品が多様化した今の時代を過ごすメリットでもあるだろう。
今回は背の高いコンパクトカーの代表ともいえる、ダイハツトール/スズキソリオ/ホンダフリードプラスの3車種を比べてみたい。
この記事にコメントする