レヴォーグSTIスポーツ/パサートGTEヴァリアント/Cクラスワゴンを徹底比較 ~スポーティーで上質なステーションワゴン~(2/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂幸正・和田清志・小林岳夫
レヴォーグSTIスポーツ/パサートGTEヴァリアント/Cクラスワゴンを徹底比較 ~スポーティーで上質なステーションワゴン~
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足まわりを上級化したレヴォーグのスポーティーな上級シリーズ

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レヴォーグはスバルのミドルサイズワゴン。今では欧州やオーストラリアでも販売されているが、開発された時は国内専売だった。レガシィはツーリングワゴンが廃止されてボディを大型化したSUVのアウトバックとセダンのB4のみになるため、日本市場を重視してワゴンのレヴォーグを開発した。

海外でも販売することは最初から想定していただろうが、ミドルサイズのワゴンで国内を重視して開発されたことは注目される。他メーカーの開発では、このサイズになると、海外向けの商品を国内に流用するのが当たり前になっているからだ。

今回取り上げるレヴォーグSTIスポーツは、スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル)が共同開発したモデルで、レヴォーグの上級シリーズに位置付けられる。エンジンはベースのグレードと同様、水平対向4気筒の1.6リッターターボと2リッターターボをそろえる。動力性能のチューニングは同じだ。

4WD(スバルではAWDと呼ぶ)は、1.6リッターターボが油圧多板クラッチを使って前後輪の駆動力を配分するアクティブトルクスプリット、2リッターターボはセンターデフを使うVTDだ。

足まわりはベースのグレードとは異なり、専用にチューニングされたビルシュタイン製ショックアブソーバーを装着した。フロント側はコンフォートバルブを備えるダンプマチックIIになる。ホイールとタイヤは18インチだ。

外観ではフロントグリルやバンパーが専用のデザインになり、内装では本革シートなどが採用される。ベースグレードの場合、1.6GT-Sアイサイトのシート生地はファブリック&トリコット、2.0GT-Sアイサイトはアルカンターラ&本革と区分するが、レヴォーグSTIスポーツでは内外装と足まわりを共通化した。

ボディサイズは全長が4690mm、全幅が1780mm、全高が1490mmだから、3ナンバー車になるものの、街中でも扱いやすい。最小回転半径は5.5m。小回りの利きが良いとはいえないが、運転がしにくく感じるほどでもない。

価格は2リッターターボの2.0STIスポーツアイサイトが45万3600円高い394万2000円。4WDの違いを含めても、30万円程度の価格差に抑えるべきだ。フォレスターの場合、ターボもアクティブトルクスプリットAWDで上級化されないが、2リッターの自然吸気エンジンと比べた時の実質価格差が16万円に収まる。

この価格差も考慮すると、レヴォーグでは1.6リッターターボを積んだ1.6STIスポーツアイサイト(348万8400円)が買い得だ。

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長いホイールベースで外観を伸びやかに仕上げ、充電された電気で走れる距離も長い

フォルクスワーゲン パサートGTEヴァリアントフォルクスワーゲン パサートGTEヴァリアント

フォルクスワーゲンの主力はミドルサイズハッチバックのゴルフだが、パサートはLサイズのボディとなる。セダンのほかにワゴンのヴァリアントが用意され、ボディサイズは全長が4775mm、全幅は1830mm、全高は1510mmだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2790mmと長い。

レヴォーグに比べると85mm長く、50mmワイドで、ホイールベースは140mm上まわる。レヴォーグは水平対向エンジンを搭載する4WDとあって、フロント側のオーバーハング(前輪からボディが前側へ張り出した部分)が長いが、パサートヴァリアントは短い。そのためにパサートヴァリアントは、全長に対してホイールベースを長く取っている。

外観はワイドなボディを生かし、フェンダーに適度に張り出しがあってボリューム感を持たせた。

またフロントマスクは、今日のクルマでは珍しい薄型で横長のグリルが特徴。LEDヘッドライト、LEDポジションランプによって少し精悍な印象だが、レヴォーグほどスポーティーではなく、Cクラスワゴンほど存在感も強調していない。スッキリと控え目な見栄えに魅力がある。

最小回転半径は5.4m。ホイールベースが長い割には小回りの利きは悪くない。

パサートGTEヴァリアントのエンジンは、直列4気筒1.4リッターのターボをベースにした充電可能なハイブリッドを搭載する。エンジンの最高出力は156馬力(5000~6000回転)、最大トルクは25.5kg-m(1500~3500回転)で、モーターの駆動力を加えたシステム最高出力は200馬力を超える。

駆動用リチウムイオン電池の容量は9.9kWhだから、三菱 アウトランダーPHEVの12kWhには達しないが、カタログ数値では充電された電気で51.7kmを走ることが可能だ。

充電はフロントグリルの内部に充電ポートがあり200Vに対応している。アウトランダーPHEVなどと違って急速充電の機能は備わらない。

価格はベーシックなGTEが539万9000円、上級のGTEアドバンスが599万9000円。後者は60万円の価格アップで、電動調節機能を備えた本革シート、アラウンドビューカメラ、駐車支援システムなどが備わる。SDDナビなどはすべてのグレードに装着した。

1.4リッターのターボを搭載したパサートヴァリアントTSIハイラインに比べると、装備の違いを補正しても130万円くらいの上乗せになる。この金額が充電可能なハイブリッドの対価ということだ。

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ボディサイズが適度で小回りの利きも優れ日本の市場に適する

メルセデス・ベンツ Cクラスワゴンメルセデス・ベンツ Cクラスワゴン

メルセデス・ベンツは、いわゆるプレミアムブランドの代表だ。最近はコンパクトなAクラス、北米市場に重点を置いたSUVのGLシリーズにも力を入れるが、主力は今でも後輪駆動を採用するセダン&ワゴンだ。

この品ぞろえの中で、日本の市場で最も人気を集めるのはCクラスだ。Cクラスは、メルセデス・ベンツの後輪駆動を採用したセダン&ワゴンでは、ボディが最もコンパクトになる。C220dワゴンアバンギャルドのボディサイズは、全長が4705mm、全幅は1810mm。小さいとはいえないが、レヴォーグに比べて15mm長く30mm広い程度だ。ほぼ同サイズと考えて良い。

最小回転半径は5.1mに収まり、前輪の切れ角を大きく取って小回りの利きが良いことも後輪駆動のメリットだ。

それでもホイールベースは後輪駆動らしく2840mmと3車では最も長く、レヴォーグを190mm上まわる。フロントウインドウやドアパネルに対して前輪が大きく前寄りに備わり、ボンネットの長さが強調された。

このプロポーションは、BMWなどを含めて後輪駆動車の特徴だ。前輪駆動のメルセデス・ベンツ CLAなどとは違う見栄えのスマートさを感じる。

フロントマスクは最近のメルセデス・ベンツに共通するデザイン。グリルの内部にはメルセデス・ベンツのエンブレムを掲げた。乗用車では最大級と思わせるほど大きい。

この造形は世界的な販売戦略に基づくが、メルセデス・ベンツが伝統ある自動車メーカーに位置することを考えると疑問符が付く。もともとは空気抵抗が重視されるスポーツクーペのフロントマスクで、セダン系はボンネット上に小さなマスコットを掲げる今でいうエレガンスマスクだったからだ。

好みの問題だからどうでも良さそうだが、個人的には伝統にしがみ付いているように見えて、上質なイメージを損なっていると思う。エレガンスマスクも選べるようにして欲しい。

エンジンの選択肢は幅広く、すべてターボを装着する。ガソリンエンジンは直列4気筒の1.6リッター、2リッター、AMGではV型6気筒の3リッターとV型8気筒の4リッターもある。さらに2リッターをベースにしたプラグインハイブリッド、そしてC220dが搭載する2.2リッターのクリーンディーゼルターボという構成だ。

クリーンディーゼルターボは最高出力が170馬力(3000~4200回転)、最大トルクは40.8kg-m(1400~2800回転)とされ、後者の数値は自然吸気のガソリンエンジンであれば4リッターに相当する。

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デザイン・スペックの総評

運転席に座ると3車種ともサイドウインドウの下端が高く感じられ、側方、斜め後方、真後ろの視界はあまり良くない。スバルは運転のしやすいクルマは安全性も高いという「0次安全/事故を防ぐ安全運転の最初のプロセス」と称して視界の良さをアピールするが、レヴォーグは特に見やすいとも思えない。

今は日本車、輸入車を問わず以前に比べて視界が全般的に悪化した。バックモニターのような死角を補う機能は大切だが、そこに依存したクルマ造りは間違いだろう。

ただし乗用車全体でとらえると、ワゴンは運転しやすい部類に入る。SUVやミニバンのように着座位置が高くないから、助手席側の死角が拡大しにくい。視線の位置も事故率が高い子供の身長に近く、死角に入りにくい。

ボンネットは以前のワゴンに比べると見えにくくなったが、SUVやミニバンのように視界に入らないわけではないから、狭い道の通行などでは目安になる。

そして全高はすべての車種にわたって1550mm以下に収まり、立体駐車場を使いやすいこともSUVやミニバンでは得にくいメリットだ。

ワゴンの大きな魅力は趣味性の領域に入る走行性能、乗り心地、外観のスマートさだが、ボンネットの見やすさ、駐車の際の取り回しの良さなど実用面のメリットもある。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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