4座スペシャリティクーペ最新事情 徹底比較(3/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
居心地の良いドライビング空間
370GTタイプSPは、ラグジュアリーな「P」とスポーティな「S」の両面を兼ね備えた最上級グレード。特に奇をてらったことはなされておらず、木目やアルミを用いたフィニッシャー、アルミペダルやマグネシウム製のパドルなどを与えた、上質でスポーティなコクピットは、居心地のよいドライビング空間に仕上がっている。
オプションの個性的なフォーブ色のレザーシートにも独特の雰囲気がある。大ぶりなフロントシートは、ドライビングポジションをかなり低く調整することができるところもうれしい。チルトステアリングに合わせてメーターパネルも上下させることができるのも特徴で、視界も良好に確保されている。
BOSE社製オーディオや、カーウイングス対応カーナビが付くが、新しいカーナビは、モニターの表示が非常に精彩で、階層がわかりやすく整理されている。
後席は頭上があまり広くなく、荷物を置くスペースとして捉えたほうがいいだろう。また、ラゲッジルームも床面が高く、もう少し上下方向の余裕が欲しいところではある。
安全装備については、低速追従機能付きインテリジェントクルーズコントロール+インテリジェントブレーキアシスト、前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルトなどが用意されており、先進の装備が充実している。
iDriveの進化と上質な仕上がり
2008年11月の改良で、最新仕様のHDDカーナビを標準装備したほか、iDriveの操作系にアップデートされ、先だっての3シリーズセダンと同じく、格段に使いやすくなった。安全装備についても、ダイナミックブレーキやアクティブヘッドレストなど、最新のものが用意された。
アルミのパネルを使った硬質な印象のインテリアは、内外装のデザインも奇をてらうことなく、変化に富んだ中で秩序のあるインテリアとされている。エクステリアとのコーディネートのバランス感覚にも優れる。
シートはそれほど大きくなく、ホールド感も意外とリラックスして座れる形状となっている。ステアリングホイールのグリップが非常に太いのも特徴だ。
今回、ATセレクターまわりやパドルシフト、ヘッドランプスイッチ、カップホルダーなどにクロームメッキが配されたが、従来よりもさらに上質感が増して好ましく思う。また今回、細かな変更点では、トラックリッドのキーシリンダーがなくなったことも挙げられる。
BMW内でいうと、6シリーズという高級パーソナルクーペがあるので、3シリーズではもっと実用性に振ったパッケージとされたようで、このサイズ、フォルムながら後席の居住スペースも比較的十分に確保されている。
マスタングならではの佇まい
シンプルな構成で、左右対称のイメージでデザインされたインパネに、大胆にシルバーパネルをあしらった、マスタングならではのたたずまい。
ルーフに配された固定式グラスルーフは、プラスチックフィルムを2枚のガラスが挟む三層構造で、NVHを抑えたものとなっている。クローズドルーフの快適性の中で、開放的なドライビングを味わうことができる。また、室内には日差しを遮るためサンシェードも備わる。
また、同限定車の特別装備として、地デジ対応のHDDナビゲーションが標準装備される。これらが標準で付くことを考えると、ベース車との価格差は非常にリーズナブルなものではないかと思う。
メーターのバックライトは125色から選択できるのもマスタングならでは。センターコンソールのドリンクホルダーの照明も、横のスイッチを操作して任意に変えることができる。スポーティなバケットタイプのブラックレザーシートは、いたってリラックスして座れる形状。ロングホイールベースの恩恵で、後席の居住スペースもそれなりに確保されているが、成人男性が座るには、ちょっと頭上の広さが足りない。
インテリアは、日本車的な発想からすると、価格のわりに質感が云々といいたくなるところだが、それよりも、マスタングらしい雰囲気のある空間演出を楽しみたいところである。
内装・装備の総評
それぞれ「期待」に応えるインテリアの雰囲気が出ており、ブランドの特徴というか、お国柄が出ている。スカイラインは十分に上質感があり、カーナビを含め、装備の充実ぶりは、やはり日本車らしく、日本での使用にもっとも適していると思われる。その点では、BMWもiDriveとカーナビが大幅に洗練され、日本でもなじむものに進化した。
+2の後席スペースは、ボディサイズの恩恵もあり、一見マスタングが広いように感じるが、収まりのよさではBMWが上回り、ラゲッジスペースももっとも広い。美しいクーペフォルムを持ちつつも優れた実用性を備えたBMWのパッケージングの巧みさが光る。
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