ラージクラスミニバン 徹底比較(2/4)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:島村栄二
トヨタが本気で開発を進めたラージミニバン
かつてラージミニバンをリードしていたのはエルグランドで、トヨタのグランビアは大きく置いて行かれる状態が続いていたが、それを挽回すべくエルグランドのフルモデルチェンジに合わせてトヨタが本気で開発を進めたのがアルファード。平成14年5月にデビューするとすぐに、エルグランドを逆転してこのクラスで主位の座を占めるようになった。
エスティマと共通のFFプラットホームを採用することで、静かでスムーズな走りとスペース効率の高いミニバンに仕上げることができたのが大きなポイント。そしてそれ以上に迫力十分の外観デザインやラグジュアリーな雰囲気を満載したインテリアの仕様などが高い人気につながった。
現在ではハイブリッド車もラインナップしており、ほかのミニバンとは異なる特徴を持つモデルとして存在する。2005年4月にはマイナーチェンジを受けており、外観デザインの変更などで魅力を向上させている。
搭載エンジンはV型6気筒3リッターと直列4気筒2.4リッターの2機種。余裕の走りを示すV6と実用的な4気筒という構成。このモデルからFF方式を採用したことで、静粛性が高く、滑らかでバランスの良い走りが得られるようになったのが大きな魅力である。
堂々たる外観デザインと大排気量エンジン
かつてラージミニバンの市場をリードしていたのがエルグランド。堂々たる感じの外観デザインを持つボディにV型6気筒3.5リッターの大排気量エンジンを搭載し、豪快な走りのフィールを示すことが人気の理由。高いステイタス性を備えたクルマとして、高級車ユーザーを吸引してきたモデルである。
平成14年に現行モデルに切り替わった後、グランビアから変わったアルファードに販売面で売り負けるようになったが、これはアルファードには4気筒2.4リッターエンジンを搭載したことが大きな理由。エルグランドも2005年1月にV型6気筒の2.5リッターエンジンを搭載することでこれに対抗してきた。
インテリア回りのデザインは、カーナビの画面を取り込んで大きく広がったインパネデザインなど、エルグランドならではの豪華さがある。シートのアレンジや居住性、ラグジュアリーな雰囲気などは互角の実力だ。
V型6気筒の3.5リッターと2.5リッターエンジンを搭載するため、排気量で上回る分だけ動力性能で優位に立つのがエルグランドの特徴。FRのプラットホームを採用することで、床面が高くなるなどのデメリットもあるが、素直な操縦性は魅力となる要素だ。
知性的なデザインと低床プラットフォーム
アルファードに対抗するモデルというより正確にはエスティマに対抗するモデルという位置づけながら、ホンダのミニバンの最上級に位置するラージミニバンとしてし、アルファードやエルグランドと比較されるモデル。低床プラットホームの採用によりライバル車に比べると全高を抑えたパッケージングが特徴で、外観デザインもやや控えめで知性的な印象を与えている。この点から考えてもアルファードやエルグランドと真っ向から勝負するクルマではないことが分かる。
インテリア回りのデザインは、斬新な感覚のメーターパネルを始め、コントローラーを設けたインスト中央の部分なども新鮮な印象を与えている。さらにワイドな全幅を持つことで、室内空間には十分な余裕があり、抑えた全高がデメリットになっていない。
搭載エンジンはV型6気筒の3リッターと直列4気筒の2.4リッターという組み合わせでアルファードと同じ。やや軽いボディを持つことで、走りの性能にも優れるのが特徴だ。特に3リッターエンジンを搭載したモデルはボディの軽さに加えて動力性能にも優れるため、走りの良さでアルファードに差を付けている。2.4リッターエンジンの搭載車はほぼ互角だ。
デザイン・スペックの総評
単純に動力性能だけを見るとエルグランドが優位に立つが、エルグランドはFR駆動で重量も重いので、トータルの走りの性能としては必ずしも優位に立つほどではない。ただ、2.4リッター車に対する2.5リッター車は、6気筒らしい回転のスムーズさパワーフィールなどによってやや優位に立つ印象がある。室内空間は全高の低いエリシオンが不利なのはある意味で確かだが、実際に座った印象ではそう大きな違いは感じられない。
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