人気の最新国産SUV 徹底比較(4/4)

全てのシーンを使いこなせるオールマイティなモデル

グンと大きくなって3ドア・ボディも廃止となった新型RAV4――それは、デビュー当初の初代モデルに比べると「もはや名前以外は全く異なるキャラクターのSUV」と受け取った方がお似合いとも思える一台だ。

一方で、日常の相棒としてこれ一台で全てのシーンを使いこなせるオールマイティなモデル、というクルマづくりの志は当初から変わっていない。確かに姿カタチはSUV風でも、乗降のしやすさから乗る人に無用な刺激を与えないという走りのテイストに至るまでが、どこをとっても「良く出来た上質な乗用車」という印象。軽自動車までを含めても日本車最短（！）だったホイールベースが生み出す“チョロQルック”が特徴だった初代3ドア・モデルのような特徴・個性こそないものの、それだけ多くの人に抵抗なく推薦が出来そうなところが最新モデル最大の見所とも言えるだろう。

基本的には1ボディ、1エンジン、1トランスミッションという構成の新型RAV4だが、より上質な走り味を求めるならば『X』もしくは『G』グレードがオススメ。18インチ・シューズを履いた『スポーツ』グレードは路面凹凸を拾っての上下Gがややきつめに伝わる傾向アリ。また、かようなSUVルックの持ち主でありながら上り坂での発進など時にトラクション能力が不足気味になるので、廉価さ（だけ・・・）が売りのFWDモデルはオススメしない。

3列目シートを選択しておくのが得策

三菱の起死回生役の一助を担うアウトランダーは、発売以来のセールスがなかなか好調という。確かに、このタイミングで登場のブランニューSUVとしては「個性に溢れる」というタイプではないものの、しかしそれが幅広い層の顧客にアピール力を持つ結果となっているというのも事実ではあろう。

1ボディ、1エンジンに1トランスミッションというシンプルなラインナップも、このクルマの存在感を逆に強める結果となっている。ニューカマーでありながら、「あっ、アウトランダーってあのクルマだね」と昨今のモデルとしては珍しくすんなりとイメージ出来そうな人が多いのは、こうした分かりやすい展開によるところも大きいだろう。

オーディオが標準装着か否かという違い以外にグレード間の装備差はさほど大きくはないこのモデルの場合、最も迷うポイントになりそうなのは3列目シートの有無であるはず。これを選択すると未使用時にはラゲッジスペース容量が一部減少する事にはなってしまうが、それでもライバルを上回る“ロングボディ”のお陰で残された積載量はかなりのもの。確かに、大人が真っ当な姿勢で寛げるという代物ではない一方、後付けは不可能というアイテム。価格も2.1万円とごくわずかなので、“万一”の使用時を考えて選択しておくのが得策だ。

一級オフローダーのポテンシャルを堅持

そのデビューのタイミングが近い事もあり、こうしてRAV4、そしてアウトランダーなどと比較をされる事が少なくないエスクード。が、すでに報告をしてきたようにこのモデルのクルマ作りのスタンスはそうした“ライバル”たちとは少々異なっている。

エクステリアもインテリアも、その装いはあくまでも“イマ風”のテイスト。一方で、ハードウェアは一級オフローダーのポテンシャルを堅持すべく、ハンパにFF乗用車との統合を図ったりはしない、というのがこのクルマの、そして作り手であるスズキのやり方なのだ。

そうは言っても、このところはSUVでもその生涯の大半を舗装の上で過ごすというのは常識。となると、オフロード性能の維持に努めたモデルでもそれを踏まえてオンロード性能を大きく引き上げるというのが最近のSUVづくりになる。

実際、新型エスクードで高速道路を主体とするオンロードを走行しても、“乗用車構造”を持つライバルに見劣りをする部分はそうは実感出来ない。2リッター・モデルの場合、多少の非力感とエンジンノイズの大きさがウイークポイントと言えるが、一方でRAV4やアウトランダーには設定のない6気筒モデルが比較的低価格で手に入れられるところは、むしろこちらのアドバンテージという事になりそうだ。