スペシャリティ軽カー 徹底比較(2/4)

スペシャリティ軽カー 徹底比較
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スタイリッシュな外観とスポーテイな走り

フロントスタイルリアスタイル

縦長のヘッドライトや、全体のボディの形状、ウインドウグラフィックや印象的なボディサイドのキャラクターラインなど、トレンドである前進感が強調されたものとなっている。リアビューも、斜めにデザインされたリアコンビランプが表情を豊かにしている。また、リアにかけてけっこう絞り込まれていて、車高を低く見せる努力がされている。

一見したところ、プジョーにも似たデザインテイスト。スズキ車がここまでボディパネルの抑揚にこだわった例は、ちょっと思い当たらないほどである。また、エッジ部を丸く造形することで剛性向上にも配慮したことがうかがえる。

タイヤサイズは165/55R14で、今回の他の2台に比べると、やけにタイヤが小さく見えるし、取材車両の「T」ではスチールホイールとなる。最上級の「TX」にはアルミホイールが標準装備される。

エンジンは、それほど過給圧が高くなく、レスポンスのよいMターボのエンジンを全車に搭載し、十分な動力性能が確保されている。 特に3000回転付近から上で力感があり、過敏な印象のない中でターボらしい加速感の片鱗が味わえる。高速道路を走るときでも大きな不満はないだろう。リアからの音はそれなりに入ってくるが、静粛性が低いという印象ではなく、ちゃんと配慮されている印象である。

ドライブフィールはスポーティで、ボディ剛性が高く、一体感のある走りを楽しめる。やや硬めにセッティングされた足まわりは、振動をワンバウンドで押さこもうという設定で、反面ピッチングが多く、低い速度で突起や継ぎ目を通過するとそれなりに突き上げる面もある。とくにリアが跳ね気味となる。だが、ワゴンRのRRのような、やや嫌味のある硬さ感ではなく、硬さの中に柔らかさのある味付けである。

ステアリングゲインはけっこう高めだが、リアがちゃんと接地しているので、ワゴンRのようにリアが暴れる感覚ではない。高い重心と狭いトレッドによる弱点を、ロールセンターを高く設定することでカバーしようとしているようだ。

積極的にコーナリングを楽しめる味付けで、スポーティという意味ではけっこう面白いと思う。従来のスズキの軽カーにはなかったまとまりのよさを感じさせる。同じプラットフォームを持つモデルの中ではダントツで完成度が高いと感じられた。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

一部改良が効果的に作用している

フロントスタイルリアスタイル

独特のスタイリングは、見慣れても非常に新鮮に目に映る。グッドデザイン大賞を受賞したことに対して、誰も文句をつける人はいないだろう。

ボディサイドから見ると、リアタイヤのはるか下あたりを中心に、ルーフラインやウエストラインが円弧を描いている。もしもこのあたりの処理が直線的だとすると、新鮮味が半減してしまうだろう。

フロント、リアの表情もユニークで、未来感にあふれている。やはりiのデザインはいつ見ても傑作と思えるものだ。豊富なカラーバリエーションも魅力である。

 走りについては、10月の改良でフロントサスペンションのジオメトリーが見直され、微妙にネガティブキャンバーがつけられた。これによる効果が想像以上に大きく、ステアリングフィールの接地感が増し、直進性も向上しているのだ。セオリーどおりといえる。タイヤの偏磨耗などの問題から、自動車メーカーは市販車にネガティブキャンバーをつけることをためらう傾向があるが、iにそれを採り入れた英断は高く評価したい。

取材車両は4WDモデルだったが、2WDモデルのほうがよりその恩恵は大きい。ただし、iというクルマ自体、街中しか走らないのであればまだしも、たまには高速道路を使ったりとマルチに使いたいのであれば、4WD車を選んでおいたほうが無難であることには変わりない。

動力性能は、ボディが重いこともあり、トルクフルなターボエンジンをもってしても、もう少し加速感が欲しいところではある。逆に街中オンリーであれば、10月に追加された自然吸気エンジン車のほうが、その用途に特化した感があり扱いやすい。

また、ブレーキング時の姿勢が素晴らしいことを強調しておきたい。今回の他の2台は、軽いブレーキングでもけっこうカクンとノーズダイブしてしまうのだが、iはフラットな姿勢を保ち、さらにはブレーキのコントロール性も非常に高いのだ。これはフロントに重量物を持たないことのメリットといえる。なにもスポーディな走りに限らず、一般道においても、同乗者に不快な思いをさせないという点で非常に有意義なことである。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

ツアラーに相応しく仕上げられた走り

フロントスタイルリアスタイル

これまでにない「ツアラー」コンセプトの軽カーとして誕生したソニカは、事実上のMAXの後継モデルにあたるが、その印象は薄く、新規に起こしたモデルというイメージが強い。

エクステリアは、クーペの前と後ろを切り取ったようなスタイルにも感じられるフォルムで、やはりスポーティである。サイドウインドウグラフィックをこのように見せることで、ミラベースであることをあまり感じさせなくし、スペシャリティなモデルらしいイメージを与えることに成功している。車幅をあまり絞り込まず、あえて広く見せる処理がなされている。これにより実際よりもワイドでローダウンされているように見える。ドアハンドルはグリップタイプで、ウインカーもドアミラーに内蔵されるなど、上級イメージの装備が与えられている。

 欲をいうとフロントマスクについて、こうして見ると今となってはもう少し個性が欲しかったところかもしれないが。

走りについては、すでに高く評価されているとおり。取材時にもあらためてそれを実感させられた。たとえ乗用車を引き合いに出しても、ここまで完熟の領域に達している車種は少ないと思えるほどだ。

フラットライドで、ステアリングがスローレシオながら、フロントタイヤの路面追従性が極めて高く、インフォメーションも高い。また、コーナリングでロールしたときのリアの接地性も高く、旋回ブレーキを試してもリアタイヤが路面から離れない。しかもそれらを、十分に快適な乗り心地の中で実現している。ややオーバーキャパシティ気味かと思われるタイヤを、見事に使いこなしている。

ただし、CVTの制御によると思われるが、絶対的な動力性能としては十分ではあるものの、あまりパワフルに感じられない点が惜しまれる。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

デザイン・スペックの総評

スタイリングはそれぞれ個性があって面白い。iについてはいうまでもないが、セルボもかなり思い切ったデザインで、実にスタイリッシュである。いずれもファストカーとして使うに十分な質感と雰囲気を持っており、軽カーであることに媚びずに乗れる雰囲気を備えている。走りの素性は、セルボもかなりがんばっているが、やはり重心が低く軽いソニカにアドバンテージがある。iはリアミッドシップであることを考慮すると、よくぞここまで仕上げたと思えるのだが、横並びで考えるともう少しステアリングのしっかり感があったほうが好ましい。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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