国産ホットモデル 徹底比較(4/4)
- 筆者:
- カメラマン:島村栄二
レーシングカーのテイストを市販車で
セダンボディになったことをとやかくいわれているが、走行性能を高めるため、あえて、剛性が高く、前後重量配分に優れるセダンを選んだと認識すべきだろう。
目標はあくまでタイムだったということで、車重はDC5に比べ80kg増となっている。これをカバーした上で、目標として設定したタイムを達成するため、クルマとしてのまとまりにおいては、少し無理が見られなくもない。
具体的にいうと、速いエンジンと、剛性の高いボディはあるものの、やはり車重増をカバーするのはそれなりに大変だったのではないかと思う。
よって、足まわりはかなり固く、サイドウォールのかなり硬いタイヤがOEMとして与えられている。よって、乗り心地については、いくらか覚悟する必要があるのは否めない。
逆にいうと、レーシングカーのテイストを市販車でそのまま味わえるという点では、このクルマほどその味を持っているモデルはない。ドライブフィールはまさにN1マシンそのものであり、それはハードなスポーツ走行を試すほどに堪能できるのである。
ベーシックなクルマに付加された高性能
事実上のルーツであるファミリア時代から、速いエンジンを搭載したスペシャルモデルがラインアップされてきた経緯がある。
アクセラは、標準モデルにおいても「23S」というそこそこスポーティなモデルがラインアップしている。それだけでは飽き足らず、本格的なハイパフォーマンスを身に着けたのが、マツダスピードアクセラである。
もちろん速いことは速いし、それは誰でも体感できる。自然吸気エンジンに比べると、低過給領域ではやや扱いにくさを感じるし、高過給領域ではトルクステアを感じるが、全体としては概ねまとまりはよい。一般的ユーザーにとっても危惧する必要はないだろう。乗り心地もそれほど悪くなく、普通のクルマに付加価値の付いた1台として認識してもいい。
余談だが、マツダスピードアテンザとの差別化もあることを承知でいうが、マツダスピードアクセラも4WDであれば、もっと上の次元のクルマになることは想像がついてしまう。
このサイズで速くて完成度の高いクルマ
ベーシックなコンパクトカーであるコルトをベースとする高性能バージョンが、このクルマの成り立ちである。もとがシンプルなクルマであるだけに、架装することで、まったく違う雰囲気のクルマとなった。
見た目だけでなく、同クラスで貴重なターボエンジンもそうだし、ボディや足まわりにも力を入れて仕上げたハンドリングなど、クルマとしてのパフォーマンスも想像以上に高い。エクステリアそうだが、こういうクルマが好きな人にはもってこいのモデルといえる。ベース車に比べたスペシャル度ではマツダスピードアクセラよりもわかりやすいし、なによりも価格がリーズナブルである。
ランサーエボリューションを世に送り出した三菱らしく、ベース車から大きく変わったことの、それ自体がセールスポイントというクルマだろう。
価格が手ごろで、コンパクトなサイズで、わかりやすい速さとハンドリングを持ち、実用性にも優れ、全体の完成度も十分に高いという、実にマルチタレントなモデルである。
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