気鋭のジャーナリスト×2がマニアックな視点から全く新しくなった【Ford Explorer】の魅力を探る!(4/4)

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気鋭のジャーナリスト×2がマニアックな視点から全く新しくなった【Ford Explorer】の魅力を探る!
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「いい夢を見せてあげようって部分をすごく感じるよね」「実際のサイズ同様に大きさと豊かさを堪能できます」

アメリカで1番売れているSUVが見せた進化

Q:今回のエクスプローラーですが、正直驚きました。無骨さとはまったく無縁の、高級車のような気がしたんですが。

森:でしょ? とにかく、いい意味で斬新だよね。それこそ、さっきも話したけど、テレビがブラウン管から液晶になったぐらいの「斬新さ」があるよね。そう、例えるなら「ワイド液晶テレビ、しかもHDMI端子付き」ってぐらい。画質メチャメチャ上がってますって、印象を与えてくれるよね。

川端:ホント、気味が悪いくらい、あの「モリケータ」がホメてますねー。確かに、フォード自身も「史上最大のモデルチェンジ」と謳うだけの事はありますよね。

森:見た瞬間から「デカくて新しいモノ」感がプンプン漂うもんな。で、乗り込むと、あの空間にいる事が贅沢な気分にさせてくれる。そういった「新しいモノ」感を作らせると、やっぱりアメリカって上手いなーと関心させられるよね。

川端:見た目の印象は、男性的な大きさと格好良さがありますよね。上手く言えないけど「ドン」とした存在感がすごい。

森:ただ、明らかに先代までの方向性とは違うよな。だから、今までのエクスプローラー・オーナーからすると、納得できない部分もあると思うんだ。先代までのフレームボディ(トラックベース)のクルマとしては、ある程度の完成型だったからね。

川端:やっぱり、フォードも色々学んだと思うんですよね。今までのアメリカ至上主義では、世界に通用しない。なら、世界で通用するSUVって何だろう? って必死になった結果ですよね。だから、ここまで新しくなったんでしょうね。

森:そりゃそーだよ。今までとは違って、今度のモノコックボディなら、それこそトーラスやフォーカスの(工場の生産)ラインで流せる。完全な乗用車になったワケだから。

川端:多分、現在フォードが搭載を進めている「低燃費エンジン」を搭載したモデルも、このボディで近い将来登場すると思うんですよね。その場合、やはり乗用車と同じ構造になった意味が出て来ると思うんです。

実は、アメリカ国内には「トラックのシャーシ(フレーム)なら、(乗用車に求められる)燃費基準に満たなくてもOK」みたいな法律があるんですね。で、今までのエクスプローラーは、登記上は「トラック」に分類されていた。それが「乗用車」扱いになっても問題ないレベルにまで技術力を持てた事で、「トラック」という甘えが必要なくなったと思うんですよね。

Q:エンジンもV6になって、あのドロドロっていうエキゾーストとかしないですよね。ヒューンって感じでスムーズに走ってくれて、それが本当に高級車って感じで。

川端:もうV8にこだわってないですよね。フォードが発表した「エコブースト」の考え方以降、大きな排気量にこだわらないというPR活動もしてるし。マスタングだって最初はV6だけでしたしね。エクスプローラー以上に「マスタングでV6?」って思ったのに、それで売れた。つまり、アメリカの国民も、もはや大排気量のV8に固執していないという、これは驚きでしたね。

森:「どうしてもV8」ってユーザーには、V8搭載のエクスペディションがあるしね。エクスプローラーの場合、V6で十分なパワーと高級感が出せているから。そして、乗ってもボディとエンジンの相性がいいんだよ。あの大きさ(全長5m×全幅2m、重量は2t以上)で、あれだけ振り回せるのも珍しいけどね。

それも、実はフロントのバンパー下部のエアダムみたいなアンダーカウルとか、実際のボディ下の部分とか、かなり空力を研究しているよな。まぁこの考えをSUVとして最初にやったのは、レンジローバーだと思うけど、この新しいエクスプローラーもグラウンドエフェクトをしっかり考えて作られている。だから、高速でも大きなボディ&高い重心でも浮き上がらない。

日本の高速道路は制限速度100km/hだけど、十分(エアロダイナミクス的に)効いてるよね。でも、エクスプローラーの性格上、オフロードなどの悪路走破性も考慮しなくちゃいけない。だから、アレってドライバー1本で取り外しできるようになってるはずなんだよな。

川端:と、いう説明でしたよね。実際は1本で外せるけど、かなり重労働っぽかったですけど。まぁ、そう頻繁に外さないパーツでしょうしね。

アメリカンカルチャーの匂いすら感じるが、実は正常進化

Q:エクスプローラーのハードの進化のすごさは分かりました。でもそれ以上に魅力的に見えるのは、なぜですか?

森:それは、やっぱり「アメリカのいいモノ」を上手に商品化できたからじゃない? エクスプローラーって「ソコソコの価格で、オフロードに強くて、快適性もあるクルマ」ってイメージが強かった。それがルックスを含め、オールニューで来た。今までのウォークマンからiPodになったワケ。「音楽を聴く=交通手段としてのクルマ」と考えたら、同じ作業でも全然違うワケさ。しかもデカくてもバランスがいいから、すごい満足感がある。

川端:そうなんですよね。日本人って、すごい不思議なんだけど、アメリカンカルチャー好きですからね。メッセンジャーバッグとか流行りましたしね。だけど、日本の電子製品や性能が世界一だった時代の名残で、アメリカンプロダクトよりメイドインジャパンみたいな風潮が残ってると思うんです。でも、今や(部品の)サプライヤーだって世界中にあるワケで、「輸入車だから壊れる」みたいな心配もない。その中に、アメリカンカルチャー的な「豊かさ」を感じさせてくれるからだと思います。あの大きさは大陸的とでも呼べそうだし、「これだけで完結」みたいなクラスレスな所も魅力ですよね。

森:あのボディの全幅は、慣れが必要だけどな。全幅2mって、かなりすごい数字だよな。まぁトレッドが1700mmオーバーもあるからさ、しょうがないんだろうけど。それぐらいワイド感が異様なんだよな。だけど気持ちいい異様さ。 とにかく、端から見ていて、うらやましい気がするワケですよ。

だって決して安い金額の商品じゃないでしょ、クルマは。その中で「他人にうらやましがられる」っていう商品力がなきゃダメなんだよ。それを持ってる、しかもこんな新しい方向性が、アメリカで1番売れているSUVで示された。そりゃ驚くし、「上手くやりやがったな」っていい意味でうらやましくなる。

川端:3列シートなのも、いいですよね。ミニバンっぽいルックスでなくても多人数乗車できるっていう提案。しかも普段使わなければ、電動で楽にラゲッジスペースにしておけばいい。いかにもって感じではなくオシャレに使えるクルマですよね。

森:決して先代までの方向性を否定してるワケじゃないと思うんだよね。あれはアレで正解だったの。ただ、色んな世界情勢だとかユーザーのニーズだとか考えたら「オフロード性能よりオンロード性能を高めた方がいいよね」とか「じゃモノコックのほうが色々と都合いいよね」、「燃費も大事だよね」「じゃあパワーと燃費を両立させたV6メインでいいよね」とか、突き詰めたら、この新型になったんだよ。

つまり「違うクルマになった」のではなく、あくまでも「正常進化」なんだ。これが次世代のエクスプローラーであって、それが単純に「すげー新しい」気がして、魅力的だと。だから文句付ける部分がないんだよね、マジで。

これだけの進化をさ、フォードの経営を支える基幹車種、人気車種で実現させた事が、何より1番の驚きだよね。その姿勢も含めて、ワイド液晶テレビ並みの衝撃だったと言えるんだよ。あとは、エクスプローラーを乗り継いできたオーナーの方だけでなく、今まで欧州車や国産のSUVユーザーが、手を出すかだよね。乗れば、絶対にいいのが分かってるんだから。

取材後記

今回も「クロウトのツボ」として、辛口の両氏にご登場してもらったが、前回のクーガ以上に、エクスプローラーの評価は非常に高かった。

特に、エクスプローラーの場合は、先代に乗っているオーナーの乗り換えが多いと思われるが、その進化の方向性、また斬新さに驚くだろう。今までの「良くも悪くもアメリカントラック・ベース」とは明らかに違う、スムーズさと快適性は、先代オーナーからすれば「これはエクスプローラーじゃない」と感じるかもしれない。

しかし、アメリカだけでなく世界的な「プレミアムSUV」市場でも十分に人気を獲得できるだけの斬新さ、「いいモノ」感にあふれていた。クルマに慣れた両氏と違い、多くの一般ドライバーは最初あの大きさに威圧され、かなり気を遣うだろうと思う。しかし、実際に走り出せば、重さを感じさせないスムーズな走りに、ヤラレてしまうだろう。

しかし、森氏の最後の言葉のように、これが正常進化なのだ。そしてこのモデルチェンジは、数年後には間違いなく「正解」だったと言われるだろう。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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