気鋭のジャーナリスト2名がマニアックな視点から新世代SUV【Ford Kuga】の魅力を探る!(4/4)

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気鋭のジャーナリスト2名がマニアックな視点から新世代SUV【Ford Kuga】の魅力を探る!
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「VW ゴルフとは違う方向性だけど、真面目でいいクルマ」「色がついていない分、自分らしく乗れる輸入車ですね」

「乗りやすい=いいクルマ」なのはチョイ乗りでも分かる

Q:クーガを色々とチェックしてもらいましたが、ぶっちゃけ、お二人はどう評価されますか?

森:いや、ホントにいいクルマですよ。

最初に言ったけど、「ちゃんとまっすぐに走るクルマ」なの。つまり、自分が今どんな状態でクルマを動かしてて、どう進みたいかが分かりやすい。ステアリングからの情報がちゃんと伝わってくるから、車両感覚がつかみやすい。だから、運転が楽なんだよね。

川端:私もそう思います。技術的な説明はともかく、ステアリングを切った分だけ曲がりたい方向に曲がるイメージ。どんな人でも違和感なく運転できて、しかもカッコイイ。いかにもヨーロッパフォードらしいデザインだけど、私はすごく好きなデザインですね。

森:おっと女性らしい意見だな。「ステアリングを切った分だけ…」てヤツ。でも確かに、クルマってやっぱり交通手段じゃない? 毎日でも使うモノなんだから、ちゃんとしたモノを日本のユーザーは選んだほうがいいね。

川端:また森さんらしい辛口ですね。でも当たってます。バッグやアクセサリーは、まずデザインや素材で選ぶのに、クルマは意外に違う部分で判断されがちですよね。

森:そうでしょ?例えば、毎日食べる「米」なんか、みんなコダワるじゃない、やれ魚沼産だとかさ。まぁ決して安いお米、無洗米とかが悪いとは言わないけど「普段食べるものだから」って、みんなちゃんとしたものを買うワケよ。だったら、毎日使うかもしれないクルマだって、ちゃんとしたものを選びましょうってコトですよ。

川端:そうですよね。多分、国産車ってやっぱり絶対的に安いんですよ。だから価格で釣られて、そっちを買ってしまう部分もあるでしょうね。でも、内容やデザインで選べば、もっと輸入車は売れてもいいはず。

森:食べたら、意外に無洗米もそれなりに美味しいんだろうけどね(笑)。それよりクーガなんだけど、1つ不満があるんだよな。それは、ヨーロッパでの標準仕様は、多分ディーゼル&MTが一番売れてるはず。そうなると、足回りも(日本仕様の上級グレード)18インチじゃなくて、17インチだろ? しかもルーフはガラス(パノラミックルーフ)じゃなくて。絶対、そっちのほうがバランスはいいだろうな。

フォードにはVWゴルフ(ハッチバック)に対抗するフォーカスはまだしも、VWのポロ(コンパクト)やパサート(ワゴン)と対向できるクルマはない。そんな中、日本でも売れそうなクルマが出来た。しかし、残念ながら日本ではガソリン&ATでしか売れない。それで今回のグレード展開になっちゃったワケだな。それが残念なんだよ。

川端:運転してみてもよく分かりますが、クーガは、普段使うのにすごくいいクルマですよね。

エンジンも踏んだだけ「ポン」と前に出てくれる感じで。女性って、やはり信号待ちや発進の時、もたつくことにすごい罪悪感というか「申し訳ない」って気持ちが強いんです。だから、決して(アクセルが)過敏ではないけど、スッと前に出てくれるクルマってすごい楽。3ボックス(ハッチバックやワゴン)と同じ感覚で走れるSUVっていいですよね。

森:ただ、あの「パノラミックルーフ」ね、あの製造工程を考えるだけでちょっと滅入る。せっかくのルーフをぶった切って補強入れてさ。重量物が上に乗るワケでしょ?

川端:でも小さいお子さんとかがいるユーザーは、後部座席に座っている子供が飽きないし、クルマ酔いも軽減されるでしょうから。しかもシートは、アレルギー対策まで施されているので、神経質な親にも安心という…。

森:あと、アレな。北欧では「太陽の光」って贅沢品なんだ。

日照時間の短い地域ならではの要求ではあるんだけど、日が射すとすぐに脱いじゃう人達って多いじゃない。特にヨーロッパの北のほうの人は。

そういうヨーロッパのユーザーからは、ガラスルーフって非常にホットなリクエストなの。だから最近のニューモデルではまたガラス部分が増えているんだよ。日本じゃ暑くてタマランだろうけど。

川端:そうそう。だから、いいんですよ、あっても。それにリアのガラスハッチも、女性はけっこう使うし。

森:しかし、絶対ディーゼル&MT&17インチがベストバランスだと思うね、オレは。屋根はもちろんノーマルで。

Q:フォードだけれど、アメ車感はまったくないんですか?

森:いや、実はね、路面の衝撃の吸収の仕方とかが、アメ車に近い。他のドイツ車みたいにビシッと言う感じではなくて、上下のダンピングの収め方が、少し動いてから収まるって感じ。まぁかなりオタッキーな視点だけどね。あと、ヘッドライトのスイッチが、まぁアメ車の名残かな。丸いスイッチを捻って点灯。ここは変わらないね。

「色がついてない」良さが分かる人にこそお勧めしたい

川端:そう。ドイツ車とは違いますね。先ほどの例に出ましたけど、ゴルフって、ステアリングを離してもまっすぐ進むような、「オレの道はコレだぜ」的なドライな感覚がある。ドイツのアウトバーンみたいなフラットな道ならすごくビシッと走ってくれて、アレはアレでファンも多いと思うんです。日本も道は悪くないし。

だけど、イギリスやフランスなどちょっと田舎道が多い国で乗っていると、疲れちゃうんですね。だから、レンタカーでフォーカスとかが出て来ると「ラッキー」って思っちゃう。だってフォードは疲れないから。

森:方向性が違うんだよ。VWのように、ピッタリとチリを合わせる「フィット&フィニッシュ」の思想じゃないんだよ。確かに見た目で明らかに左右違う大きさの継ぎ目だったら「オイオイ」ってなるけどさ、それほどでもないし。

それより「じゃあ他はどこがいいんだ?」って部分に着目したほうがいいんだよ、ヨーロッパフォードはね。それは、やっぱりシャーシダイナミクスに尽きると思うね。

乗ってみて初めて分かる「乗り心地の良さ」だとか、ステアリングを切った時の「この動きを見てくれ」って感じかな。この部分は、すごい血眼になって力入れて作ってるよね、フォードは。

川端:日本人って不思議と「ジャーマン・プロダクツ」信望ってありますよね。寸分の狂いなく接合されているとか、ミシリとも言わないボディとか。文化は受け入れなくても、製品の信頼性は高いみたいな。

それとは逆に「イタリアの製品は信用できないけど、文化とかデザインのセンスは好き」みたいなワガママ。それとは違う方向性のクルマですよね。少しの遊びも許さない、ではなくて、少し遊びが許されるファジーな感じもある。私はこちらのほうが楽で好きですね。

森:でも実は、すげーシャープなんだぜ。だけれど「コレ以上やったらやり過ぎですよ」って手前の「寸止め」なんだよ。それがすごい上手なの。どんな人が運転するか分からない、だから誰でも運転しやすく、かつ「運転しやすい」って思わせる、やり過ぎない「寸止め」シャープのさじ加減。コレがフォードの醍醐味よ。

川端:あと、色がついてないのもポイントですよね。例えば「VW ゴルフに乗ってる人」とか「BMWに乗ってる人」とかイメージがない。その分、自分の選択で自分らしく乗れるっていうのも大きなポイントですよね。「なんでフォードにしたの?」って必ず聞かれるでしょうし。その時に初めて「だって実際に運転して、いいクルマなんだよ」って言える。

森:そうだよね。貧乏にも見えないし、かといって嫌みな金持ちにも見えない。「マスタングじゃないのに、なんでフォードなの?」みたいなさ、決まったカラーがない。その「色の無さ」がいいんじゃないの。それでいて、乗ってみると、ちゃんと運転しやすい、まっすぐ走る真面目なクルマなのがクーガなんだよ。

例えるならアメ車じゃない、むしろヨーロッパ車なんだよね。ホント、すぐ分かるよ。ディーラーのチョイ乗りでもね。その後、ダメな国産車に乗ると、その違いに驚くよね。乗り比べちゃうと、ちゃんとしたクルマってどんなモノかがすぐ分かるからさ。

そりゃ欠点もあるよ。フォードが提案する「エコブースト」より一世代前のターボエンジンとか、付け過ぎた各部の電子ギミックとか。でもね、クルマが交通手段である以上、絶対的な「運転のしやすさ」って大切だと思うんだ。それが上手なのがヨーロッパフォードのクルマだし、性能や価格も含めてかなり高得点取れるクルマですよ、クーガは。

取材後記

今回、「クロウトのツボ」として、比較的?辛口で評判のジャーナリストである両氏にフォードクーガについて語ってもらったが、拍子抜けするほど、両氏ともにホメ言葉が多かった。

実際、撮影の際に少し走っただけでも、何の違和感もなく、スムーズに運転できる事を改めて理解できた。

もちろん、細かい部分で注文をつければキリがないのだが、それを差し引いても、クーガの「クルマとしての完成度」は高いと評価できるだろう。むしろ、見た目以上に、ワクワク感よりも「移動手段」としての安心感が強いのは新しい発見だ。

「なぜフォードなのか?」は、森氏が指摘するように「乗ってみれば分かる」という部分。華美でもない、かといってチープでもない。

本当に毎日に近い頻度で使うからこその、基本的な部分へのこだわりを感じさせる、最新なのにまったく違和感がない、「色がついていない」SUVなのだ。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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