これがフェラーリFFの後継、新型「GTC4ルッソ」のパフォーマンスだ!速攻試乗レポート(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フェラーリジャパン
真のラグジュアリースポーツカー
もちろん、乗り心地も悪くない。この余裕の持たせ方こそ、今の時代の真のラグジュアリーというものだろう。高級車をイライラしながら運転することほど、みっともないことはない。そういう心境に至らせてくれるクルマは、これまで、ロールスロイスとベントレーしかなかった。
もちろん、その真骨頂はノロノロドライブにあるわけじゃない。GTC4ルッソの走りのパフォーマンスを端的に語れば、最高のGTであり、ほどよいスポーツカーだ。
最高のGTパフォーマンスは、速度を徐々に上げて行く過程で、誰もがすぐさま実感するだろう。V12は常になめらかに回って、適切な力を供給する。右足を強く踏み込んでも、スリルはない。そう、めちゃくちゃ速いと感じることがない。ドライバーの操作に関わらず、常に安定した反応をみせる。
加速時の安定感は完璧!
加速時の安定感は、発進から高速域まで、完璧だ。びびることなく思い切り踏んで行けるフェラーリなど、歴史的に見て、FFとGTC4ルッソだけ、と言っても過言じゃない。
後輪操舵を得た新しい4RM-Sシステムのおかげで、タイトベントから高速コーナーまで、ドライバーが多少無理をしようとも、極めてスムースに曲がっていく。煽るだけ煽っておいて後は知らんぷりを決め込むのが、従来のイタリアン高性能だったが、このクルマだけは違う。最後まで気持ちよく面倒を見てくれるのだ。それも、お仕着せがましくなく!
その間、ドライバーはというと、ずっと“楽しい気分”でいられる。というあたりもまた、ドライバーズカーを熟知し、他のミドシップモデルやF12との差別化の必要性を重要視した、今のフェラーリらしいクルマ造りと言っていい。
そして、高回転域で感じるV12自然吸気の心地良さは、世界最高だ。スムースさと気持ち良さという点で、これ以上のエンジンはほかにない。そこは完璧に伝統的なフェラーリ・ワールドそのもの。それを、極上のリラックス空間、もしくは、望めば適切なスポーツネスのなかで、体験できる。何とも贅沢な話じゃないか。
伝統の名前を二つも連ねた贅沢な名前にふさわしい、それはパフォーマンスの持ち主だった。
[Text:西川淳]
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