竹岡圭のドライブvol.40 富士五湖周辺で初夏を涼む(3/4)
- 筆者: 竹岡 圭
- カメラマン:原田淳
タイムスリップした茅葺屋根
昭和41年の台風26号(足和田台風)で土砂災害を受けた足和田村に、町村合併を機に40年ぶりにかつての茅葺集落を再生させようと完成したのが西湖いやしの里根場。
この風景だけでも目のご馳走ですが、その上いろんなことが体験ができるアミューズメント施設になっているんです。
まずこの茅葺屋根は兜に似ているということでカブト造りと呼ばれるそうですが、実はかなりお高いもの。1棟に使うススキ(茅葺)の量は、直径32cmの束約2300束。金額に換算すると屋根だけで1200~1500万円。1棟だと約4000万円も掛かるんだそうです。現在の工法なら1棟1500万円もあれば建つはずですから、いかに高価なものかわかりますよね~。
ちなみにこの茅かえは日本一茅葺に適した気候と言われるこのあたりで40~50年。湿度が高い日本海側では15~20年で茅かえを行うんだとか。通気性がよいので、夏は涼しく冬暖かいエコロジーな家屋ってワケなんです。
それぞれの家屋にはテーマがあって「紙の館逆手山房」「大石紬と布の館」「つるしびなの館」「砂防資料館」等々、現在全部で16棟。見学モノの館のほか、紙すきや機織、小物作り、押し花、絵手紙、こんにゃくづくり、そば打ち等々自分で手作り体験ができる館があるのも魅力です。
雅な香りを体験
本格的陶芸のほか、珍しい練香作りの体験ができる「陶芸と香の館」。アーティストでもある萱沼正子先生が楽しく手ほどきしてくれます。
私が選んだのは、練香作り体験。この練香自体、初めて見ました。15分~500円と気軽にできるのも魅力です。9種類の香の粉末(白檀、沈香、丁字、龍納、甘松、安息香、薫陸、貝甲香、麝香)と炭粉と蜜(梅酢と蜂蜜)をよく混ぜて、練り合わせ粒にするというものなんですが、これがまたなんとも言えないいい香りなんですよ~。
練香は燃やしたりせず温めて香らせるので、煙が出ないのも魅力です。昔話に、着物に香を焚き染めるなんていう記述がありますが、まさにコレ!タイムスリップしたような不思議な気分が味わえますよ~。
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