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ドライブ 2015/3/14 07:44

クルマで行く鉄道旅 ~東京の電車が長野で第二の人生!?~【クルテツ VOL.1】(3/3)

Text: Photo: 小林岳夫 レポート:オートックワン編集部・山本シンヤ(タイヤレポート)
クルマで行く鉄道旅 ~東京の電車が長野で第二の人生!?~【クルテツ VOL.1】

スタッドレスタイヤ「MICHELIN X-ICE XI3」インプレッション/山本シンヤ

クルマでいく鉄道旅 ~東京の電車が長野で第二の人生!?~【クルテツ】クルマでいく鉄道旅 ~東京の電車が長野で第二の人生!?~【クルテツ】

乗用車用の夏タイヤは各々のタイヤメーカーで複数のブランドやラインナップを持っている。グリップやコントロール性を重視する「スポーツ系タイヤ」、乗り心地や静粛性を重視する「コンフォート系タイヤ」、そして燃費や経済性を重視する「エコ系タイヤ」などはもちろん、車種カテゴリーに合わせた「●●専用タイヤ」など、乗っているクルマのジャンルや使用用途に合わせてユーザーが自由に選択することが可能だ。

その一方で、冬用タイヤであるスタッドレスは夏用タイヤに比べると、ブランドも少なく、選択肢も非常に限られているというのが現状である。となると、どのような基準でタイヤを選べばいいのだろうか?

各タイヤメーカーのスタッドレスタイヤのカタログを見ると、多くが“アイス性能”の高さを謳っている。確かに路面μの低い雪道や氷板路などで、確実に「走る/曲がる/止まる」性能はスタッドレスタイヤにとって生命線である。クルマと路面と唯一接しているタイヤの性能ひとつで、「ぶつかる/ぶつからない」も決まってしまうからだ。そういう意味では、日本のタイヤメーカーのスタッドレスは雪道性能を重視している商品が多い。

その一方で、冬季にスタッドレスに交換しないユーザーに話を聞いてみると、その答えの多くは「スタッドレスタイヤはオンロード性能が低いので普段は履きたくない」と語る。非積雪地域のユーザーにとっては、いざという時の雪道性能も大事だが、普段のオンロード性能も大事…というわけだ。

では、オンロードに特化したスタッドレスはないのか?

欧州には舗装路でのパフォーマンスを持つ「ハイウェイスタッドレス」という商品も存在しているが、比較的温度が一定の欧州に比べると、日本は温度変化が多く、同じ雪道や氷版路であっても状況が刻々と変わるシビアなコンディションのため、日本には適さないそうだ。

雪道や氷板路と言った「ウィンター性能」と舗装路面やウエットなどの「サマー性能」を高いレベルで両立させるスタッドレスタイヤはないのか?

それが「MICHELIN X-ICE XI3(ミシュラン エックスアイス エックスアイスリー)」である。

「ウィンター性能」と「サマー性能」を高いレベルで両立させるスタッドレスタイヤ

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ミシュランのすべてのタイヤの考え方は「トータルパフォーマンス」。一つの性能を高めるために他の性能を犠牲にせず、タイヤに求められる全ての性能を徹底追求している。それはスタッドレスタイヤでも何ら変わりがない…というわけだ。ちなみにミシュランは、様々なモータースポーツカテゴリーにタイヤを供給しているが、特に時々刻々と変わる過酷な路面環境を走り抜くWRCで得られた技術は、スタッドレスタイヤへのフィードバックが多いと聞く。

中には「フランスのメーカーに日本向けのスタッドレスが作れるのか?」と言う人もいるだろう。実はミシュランのスタッドレスタイヤの開発は、日本の研究開発チームを中心に行なわれ、30年以上の歴史を持っている。スタッドレスタイヤにとっては最も厳しい条件(コンディションが変わりやすい&様々な道を走る機会が多い)が揃う日本(北海道)で開発すると、世界の多くの国で求められる性能をクリアできるそうだ。

今回、日本が最も得意とするミニバンジャンルにドイツから挑むフォルクスワーゲン シャラン(TSIコンフォートライン)に、X-ICE XI3(215 /60R16)を装着、舗装路から雪道までのマルチ性能のテストを行なった。

純正タイヤはコンチネンタル製の「モビリティタイヤ(粘着性のあるシール層が中タイヤ内側に張ってあり釘が刺さっても空気が抜けにくい)」。ランフラットタイヤと違って乗り心地にも大きな影響がないが、背の高いミニバンでありながらも「走る/曲がる/止まる」性能を持っているシャランの乗り心地は、日本製ミニバンよりはやや硬めの設定だ。X-ICE XI3に交換、走り始めた印象は「快適性がアップした!?」であった。一般道を普通に走っている限りは、スタッドレスでよくあるトレッド面のヨレが起因するステアフィールの頼りなさや上下方向の揺れが収まりにくいこともない。至って“普通”である。

そのままワインディング(マツダターンパイク箱根)へ向かう。元々シャランのハンドリングは初期応答性を狙った演出はなく、他のVW車同様に滑らかなステアリングを切れば切っただけジワーッと曲がっていく素直なセットアップだが、X-ICE XI3を履いてもその印象は大きく変わらない。と言っても、Gが強くかかるようなコーナーでは、サマータイヤよりもトレッド面が動く感覚(ゴムの柔らかさやサイプの数の多さによる)はあるのだが、その動き方も唐突ではなく自然なので、ドライバーは不安な感じを受けにくいと思う。

高速道路でもスタッドレスタイヤ特有のセンター付近が落ちつかない感じ(ゴムが柔らかいのが原因)もX-ICE XI3はなく、ビシッとした直進性の高さを維持してくれるので、長時間の運転も疲れにくい。更に転がり抵抗の良さもポイントの一つで、純正タイヤ(サマータイヤ)とX-ICE XI3で同じ距離/同じペースで約200km走行をしたが、平均燃費はほとんど変わらなかった。

FFでも問題ないと思わせる安心感ある走り

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雪道性能は、今回は圧雪路とシャーベット状の雪、そして舗装路面(ウエット)が混在した路面での走行となったが、「これならFFでも問題ないじゃない!!」という安心感のある走りだった。シャランは全高が高い上に1800kgオーバーの車両重量のため急な操作は禁物なのだが、いつもよりも少しだけ静かに丁寧にクルマを動かすことさえ心がければ雪道の不安要素は全くない。今回はアイスバーンを試す路面がなかったのだが、日本人が最も重要視している性能だけあり、ミシュランも「前作より性能を上げ、自信のある性能になっています」とのことだ。

発進時はDSG特有のアクセルコントロールの難しさもあるが、ESPとの協調制御によってトラクション性能も高くスムーズな加速が可能だった。横方向のグリップも高いだけでなく、流れ出してからのコントロール性もいいので修正舵もかけやすく安心してコーナリングが可能だ。ブレーキングに関しても今回の試乗ではドキッとしたり怖い思いをすることは一度もなかった。FFでここまで安心の雪道性能ならば、「四駆×X-ICE XI3」の組み合わせは、まさに最高のゲレンデエクスプレスと言ってもいいかもしれない。

クルマ好きの中でスタッドレスタイヤの話をすると「ミシュランはドライ性能がいい」と言う結論になるのだが、それは正しいようで正しくない。実際は「ミシュランはドライ性能“も”、ウィンター性能“も”いい」である。そう言う意味では、X-ICE XI3はミシュランの「トータルパフォーマンス」の思想がより解りやすいタイヤなのかもしれない。

ちなみにスタッドレスを舗装路で走らせると摩耗しやすいと思っている人もいるようだが、実際にはサマータイヤを低い温度で使った方が適正温度にならずに摩耗しやすいそうだ。そんな事も含めると、個人的にはこのタイヤを「早く履きたくなるスタッドレス」と呼びたい。

[レポート:山本シンヤ]

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