ダイハツ ムーヴ試乗レポート/岡本幸一郎(1/2)

ダイハツ ムーヴ試乗レポート/岡本幸一郎
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5代目新型ムーヴはTNP(低燃費)が最大の特徴だ!

2010年もひきつづき販売台数で軽ナンバーワンの座を手に入れたい(入れるはずの)ダイハツ。

ただ、2010年に入ってからというもの、車種別ではタントの勢いがすさまじく、月販で大御所ワゴンRをも抜き去りトップに立つこともたびたびだったのには驚かされた。

背景には、タントにはエグゼが追加されたことや、本来の主力モデルであるムーヴがモデルチェンジを控えているのが明らかだったこともあるだろうが、それでもタント恐るべしである。

そんな中、モデルチェンジの動向が気になる人も少なくないであろうムーヴは、4年少々のサイクルで5代目にスイッチした。ムーヴというのは、もともとワゴンRと似たようなコンセプトの上級版という感じのクルマだったと思うが、先代でいきなりワンモーションのシルエットになったのにはビックリ。

ハコっぽいカタチが好みのユーザーからは不評の声も上がり、コンテを追加することになったわけだが、5代目のスタイリングは、基本ワンモーションながら、どことなくハコっぽさも加わった印象で、より万人向けになったように思える。

インテリアは、先代に似た雰囲気ではあるが、センターメーターを踏襲しつつも、あの印象的なブリッジ状のダッシュが廃されたのは、ちょっと寂しい気もしなくはない…。

改良されたプラットフォームでは、先代で究極のホイールベース長を実現していたのに対し、35mm短縮されたのが特徴。これは衝突時の歩行者保護の観点からのものだが、これにより室内が狭くなったり、走りに影響したりすることはないと開発陣は断言。また、ボディ骨格で23kg、その他諸々を含め計35kgも車体が軽量化されたのも特筆したい。

今回試乗したのは、唯一ターボエンジンを積むカスタムRSと、自然吸気エンジンのXリミテッドという、カスタムと標準系それぞれの最上級モデルだ。

今回、KF型エンジンはさらなる低燃費化をテーマに改良され、トランスミッションはCVTに統一された。これにより、これまで妥協点で帳尻を合わせていたマウント類を専用にチューニングすることが可能となったため、振動特性も改善されている。

エンジン特性と変速制御の最適化を図ったCVTの恩恵で、自然吸気エンジンのXリミテッドでも不満のない加速を得ることができる。

一方のカスタムRSは、もちろんXリミテッドに比べると圧倒的にトルクフルなのだが、逆に燃費のためか、やや大人しく味付けされているような印象だった。

静粛性についても、4000回転あたりの高回転域まで回すと、それなりに騒々しくなるが、実用域では、小型の登録車と同等の静かさだ。CVTの変速比がエンジン回転の上昇を抑えるような制御とされているようで、普通に運転していると3000回転を超えることはあまりなく、その静粛性の恩恵にあずかれる。

今回の目玉であるアイドリングストップについては、ダイハツというと、ミラでいちはやくアイドリングストップ車を実用化していたが、そのときの印象よりもだいぶスムーズになった。電動オイルポンプを廃するという、燃費には効果的でも技術的には難しいことにチャレンジし、見事にものにし、新型ムーヴ最大の特徴であるリッター27.0km/Lを実現したのだ。

足まわりは、前後スタビライザーの付くカスタムRSの印象がとてもよかった。スタビライザーの付かないXリミテッドも、コミューターとしては十分で、乗り心地もいいが、ロールは大きめ。

ところがカスタムRSは、ステアリングを切った際の姿勢がまるで違い、ムーヴ自体がけっして走りにとって都合のよいパッケージではないながらも、あまりロールもせず、しかも安定感は高く、乗り心地もしごく快適に保たれているのだ。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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