「WTCC(世界ツーリングカー選手権) 第9戦 レース・オブ・ジャパン(ツインリンクもてぎ)」レポート/遠藤イヅル(3/3)
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:プジョー・シトロエン・ジャポン/ホンダ
昨年のチャンピオン、ロペスの走りに注目
いよいよ決勝レース1がスタートしました。
抜く場所が少ないといわれるもてぎでは、スタートで前に出ることも重要な戦略です。シトロエン勢はロペスがロケットスタートを決めてホンダのミケリスの前に出ることに成功。そのまま独走態勢に入って13周を無事終え、鮮やかに優勝を手にしました。ロペスはこの勝利で今季7勝目となり、ドライバーズポイントで2位以下を大きく引き離しました。
2位にはミケリスが、3位には同じくホンダのタルクィーニが入りましたが、4位争いをシトロエン勢のローブ、チンホワ、ミューラーが激しく競いあう展開となり、同じチーム同士でもライバルとなるWTCCの面白さを見せてくれました。
白熱のリバースグリッド!レース2ではホンダが優勝
特徴が多いWTCCですが、独特のルールはまだあります。
それがレース2での「リバースグリッド」。これはトップ10までがレース1の順位を逆にして並ぶ方法です。シトロエン勢はレース1で1、4、5、6、7位でしたので、レース2では4、5、6、7、10番手のポジションとなります。ロペスは10番グリッドからのスタートでした。
ポールポジションだったシボレーのバレンテをスタートでパスした2位のホンダのモンテイロは順調に周回を重ねます。
シトロエン勢は3番手につけていたミューラーがバレンテを激しく追い上げたものの、ボンネットが開いてしまうトラブルに見舞われ後退、ロペスもリタイヤとなってしまいましたが、ローブが3位争いで大健闘。ローブは一旦4位のタルクィーニをブレーキング限界ギリギリの攻め方で抜くも、再びタルクィーニに先行を許してしまいます。
でも前に出ることを諦めない激しいドライビングのローブは最終ラップのストレートでタルクィーニを追い抜くというドラマチックなレースを見せ、1秒に満たない僅差で4位を獲得。詰めかけたローブファン、シトロエンファンを大いに沸かせてくれました。
優勝は2位スタートのホンダ シビックを駆るモンテイロ。お膝元サーキットでの勝利を飾りました。
見所たくさん、WTCC!来年はぜひサーキットでこの興奮を!
WTCC日本ラウンドは今年も白熱したバトルが展開されました。
日本では発売されていない車種たちが競うレースではありますが、派手なスポイラーやオーバーフェンダーを纏ったマシンたちは迫力がありますし、そんな「ハコ」たちが凄まじいスピードで走るツーリングカーレースの面白さ、ノックアウト方式の予選やリバースグリッドの決勝レース、スプリント方式による激しいバトルなど、見ていて楽しい要素がたくさんあるWTCCは、とても面白いカテゴリーだと実感しました。ワークスチームの「プロの仕事」が見られることや、国際格式レースが持つ特有の高揚感も捨てがたい魅力だと思います。
圧倒的な強さを持つ覇者シトロエンと、それを追いかけるべく力をどんどんつけているホンダ、新型マシンの投入で一気に速さを手に入れたロシアのラーダ、ストレートスピードでは未だ一級品のシボレーの戦いは、来年も熱いものとなるでしょう。
今回見られなかったというあなた。ぜひ、次回2016年の日本ラウンドでは、サーキットで実際の「速いハコ」の姿を見てみることをオススメします。
[レポート:遠藤イヅル/Photo:プジョー・シトロエン・ジャポン/ホンダ]
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