シトロエン DS5 試乗レポート/森口将之(2/2)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社
驚いたのはハイブリッド4のデキの良さだ。モーターによる発進やその後のエンジン始動はスムーズで、シングルクラッチ方式の2ペダルMTにありがちな変速時の減速感は、瞬間的にモーターを回すことでみごとに消してしまっていた。
オート、スポーツ、4WD、ZEV(ゼロエミッションビークル=モーター走行)の4つのモードの違いがはっきりしている点も印象に残った。ドライバーの気持ちがしっかり走りに反映できる。ハイブリッドカーらしからぬ「操る実感」が得られるのだ。
DS5の乗り心地は、DS3やDS4に似ていた。つまり同じクラスのCライン(DS5の場合はC5)のようなフンワリ感は味わえないが、サスペンションがしっとり動いてショックを絶妙にいなしてくれる。
シトロエンの良さはそのままに、癖を弱めたフィーリングだ。高速道路での直進安定性は文句の付けようがなし。
2,727mmのロングホイールベースが効いている。その分コーナーでの身のこなしはおっとりしているけれど、ステアリングの切れ味は自然で、ロールは抑えられており、よく動く足が粘り腰のグリップを発揮してくれるので、その気になればハイペースで山道を駆け抜けることができる。
つまりDS5は、スタイリッシュなフォルムやコクピット感覚のキャビンにふさわしく、C5よりもハイペースでクルーズするのが似合うクルマだった。
フランス車の中のフランス車と言えるシトロエンが、DS5では「グランツーリスモ」とイタリア語を使ったのは、この走りに理由があるのかもしれない。
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