シボレー カマロSS RS 試乗レポート(1/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:オートックワン編集部
見栄を張って、借金をして・・・
シボレー・カマロと聞くと、荒木一郎のことを思い出す。
若い人には馴染みが薄いかもしれないが、スクリーンで見せるシブとっぽい演技と唄が僕は好きだった。文学座所属の俳優としてデビューし、1966年には自分で作詞作曲して唄った「空に星があるように」はレコード大賞新人賞を受賞している。
ホロ苦い青年期特有の心象風景を爽やかに唄い上げていて、その後に多くの歌手がカバーしている佳作だ。最近のミュージシャンでは BEGINがカバーし、テレビドラマの主題歌に用いられたから聞いたこと のある人もいるだろう。
雑誌のインタビュー記事をよく憶えている。こんなことを語っていた。「芸能人の人気や仕事なんて、いい時もあれば悪い時もある。調子が良くない時でも、人に見られる商売なのだから、ショボくれてちゃダメなんだ。自分も、何をやってもうまくいかない時があった。でも、そんな時こそ、“見栄を張らなきゃいけない”と借金してカマロを買って乗り回していたよ」
落ち目になり掛けた芸能人が、借金して買って、乗り回すクルマ。カマロというクルマに、ピッタリのイメージじゃないか!ウマいこと言うナ。
カマロだけじゃなくて、ひと昔、ふた昔前までのアメリカ車に僕らが抱いていたイメージは、みんなそんなものだった。年代的に、おそらく彼が買ったカマロは2代目だろう。派手で、大袈 裟で、ガソリンがぶ飲みで、直線加速は速いけど、コーナーではだらしなくなっちゃう。
田舎のスナックみたいなベルベットを張ったシートの掛け心地はフワフワで、大きな図体の割りには車内が広いわけじゃない。荒木一郎が買った頃のカマロも、その通りだった。
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