シボレー コルベット ZR1 試乗レポート/清水草一(1/2)
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:島村栄二/オートックワン編集部
コルベットZR1。世界最速市販車の仲間入りへ
シボレー・コルベットZR1。走りの聖地・ニュルブルクリンクで、かの日産GT-Rのタイムを破ったマシンである。
最初にそのニュースを聞いた時は、「ニュルアタック専用に仕上げられたスペシャルマシンでは?」と思ったが、違った。それは正真正銘、市販バージョン(限定モデルだけど)のZR1だった!
かつてアメリカ車のスポーツカーと言えば、見てくれ重視で走りはフワフワ、ブレーキなんて効きゃしないというのが実態だった。実際かつてのコルベットも、見た目はハデだが走りはあくまで公道番長。サーキットで走ることなんざ、最初から眼中にないタイプのスポーツカーだったのである。
しかしそのコルベットが、あの超本気マシンである日産GT-Rを破った!というのだから、パワフルなだけではなく、コーナリングもブレーキングも最高レベルのはずである。ニュルでGT-Rに勝ったということは、つまりフェラーリにも勝ったということなので、私としても捨ててはおけない。
馬力は、20年くらい前のF1マシン並み!
コルベットZR1は、6.2リッターV8 OHVスーパーチャージャーエンジンを積む。ボンネットにはエンジンヘッドの“巨乳”が見えるよう、シースルー窓が設けられている。
「自慢のエンジンを見せる」という演出は、フェラーリお得意のもので、F40やF50、現在の458イタリアは、リヤに積まれたエンジンフードにあえて透明な素材を使っているが、それに倣ったのだろうか。
ただし、フロントエンジンをシースルーにするという発想はフェラーリにもなかった。これは一本取られました。それまで最強だったコルベットZ06は、7リッターの自然吸気。ZR1は排気量を少し小さくしている。代わりにスーパーチャージャーで強制的に空気をシリンダー内に押し込み、Z06の511馬力から647馬力へと、最高出力を大幅にアップしている。
647馬力という数字は、20年くらい前のF1マシン並みの数字だ。8000万円近い定価だったフェラーリ・エンツォにも近い。とにかくとんでもない馬力である。そんなエンジンを積んだZR1は、さぞやデリケートなマシンなのだろう……。
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