シボレー カマロSS RS 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:オートックワン編集部
このモデルも荒木一郎は注文しているのかもしれない
歌の魅力が時代を超越するように、モデルチェンジをしてもカマロというアメリカン・スポーツクーペの楽しさも変わっていなかった。
今の時代とともにあるクルマとして没個性に陥らず、それでいながら、ヨーロッパ車とは対照的な大らかさを自らのキャラクターとして主張している。クオリティも高く、モノとしての存在感も強い。
上下幅の狭いフロントグリルの奥に大径のヘッドライトユニットが押し込まれ、ライトユニットの上縁と下縁が覆われたように見えたり、大胆に持ち上がったリアフェンダーなどがアメリカンマッチョをうまく演出していて楽しくなってくる。
インテリアも、プラスチッキーでカジュアルだけど、センターコンソールにメーターを4つ並べたりして遊んでいるところが、カマロらしくていい。エクステリアもインテリアも安易にレトロに陥らず、それでいてちゃんとアメリカンマッチョの文法に則って、こちらの気分を盛り上げてくれる。
よく見ると、テールライトなんて、吟味された複雑な形状のものを、 三次曲面的な取り付け方をしている。昔のアメリカ車のように大雑把ではなく、今の日本車みたいに素っ気なくない。アバークロンビー&フィッチの服みたいに、凝っているところは凝っている。
でも、弱点もある。トランクの出し入れ口が複雑な形状をしていて大きな荷物が積み降ろしにくかったり、せっかくのブレンボ製ブレーキの効き方が、同様のヨーロッパ車のそれよりも緩めだったりしている。順番をよく考えて荷物を積み、ディスクとパッドのマッチングを再設定してもらうことをインポーターに期待したい。カマロSS RSは、とても魅力的な一台だ。
もしかして、また、荒木一郎は注文しているかもしれない。借金したかどうかはわからないけれど。
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