ケーターハム スーパー7 ロードスポーツ200 試乗レポート/日下部保雄 編(2/2)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:小宮岩男
スーパー7はまさに「痛快なスポーツカー」
翌朝、試乗日の天候は回復!
もちろん躊躇なく幌を外してオープンで御殿場まで行くことにする。後でちょっぴり後悔するのだが、窮屈な幌を外したケーターハム7はイキイキとしている。
トランスミッションは5速のマニュアルだが、クロスレシオで、各ギアのステップ比も悪くない。ただシフトレバーが短くて、センタートンネルに潜り込むように入ってしまうので、手首の返しにコツがいる。
1.6リットルのツインカムユニットは115PSを発生するが、排ガスのクリーン化のためだと思うがレスポンスはそれほど良くない。
しかし、たった550㎏しかない重量は決してパワー不足を感じさせず、その気になれば鋭いダッシュを示す。それもそのはず0~100km/hは5.9秒をマークするというのだから、その俊足ぶりが想像できる。
一応、風の対策としてウィンドウブレーカーにサングラス、それにキャップをかぶって我が家を後にしたが、すぐにシマッタと思った。
平板なウィンドウスクリーンから巻き込む風は半端じゃないのだ。コックピットに潜り込むようにしても、タカが知れている。
40~50km/hでもそれだから、東名高速の流れでは左車線をキープするしかない。
案の定、東名ではキャップを飛ばされそうになりながら、80km/hでクルージングする。
トラックの後につくと幾分風圧は弱まるが、大きな遮蔽物の後につくのは気分的によろしくない。意を決して100km/hまで速度を上げて追い抜きをかけるが、やはり風圧にめげてもとの速度でのクルージングを繰り返す。面白いことに普段は嫌いなトンネルでは横風がなく、7では快適だった。
もの珍しげな周囲の好奇な目と、料金所のおじさんの激励に応えながら、いよいよ7本来のフィールドであるワインディングロードに入る。正直言って高速道路は場違いなところに来てしまったようで7にとっては居心地は良くなかった。
エンジンは引っ張って6,500回転ほど。それだけ回せば、軽い7はすなわち「痛快なスポーツカー」へと転じる。
AVON製の185/70R13タイヤはグリップは低いものの、115PSのパワーと550kgのボディには丁度よいバランスだ。
フロントウィンドウ越しに見える、長い熱気抜きの入ったフロントフードとタイヤが一体のフロントフェンダーは奇妙な感覚だが、フォーミュラ3がもっとも近いかもしれない。
クイックなステアリングギアレシオ(もちろんパワーステアリングは無いが、それでも操舵力は軽い)は最小のハンドル操舵量によりコーナーを一発で決められるし、もしもリアが流れるようなことがあっても、後輪の直前に座っているのでテールスライドはすぐに察知でき、軽い車重と相まって修正舵を与えることも容易だ。
ただ115PSの7ではそんな場面は稀で、軽快なハンドリングは運転の喜びを思い覚ませてくれる。
サイドエクゾーストの音はなかなか勇ましく、凄まじい風圧に購ってハンドルと3つのペダルと格闘をしていると実際よりはるかに速い速度で運転しているような錯覚にとらわれる。
季節の香りや温度、湿気など全身で受け止めることができる7ならではの世界は、忘れていた時間の流れを思い出させてくれる。
50年の時を経て、ケーターハムが伝えてくれるものは大きい。
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