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軽自動車の規格とエンジニア魂

- Text:
- 土取友史
- Photo:
- 島村栄二
軽自動車の規格とエンジニア魂
前回・前々回から引き続いて今回も軽自動車のお話です。
前回のコラムでもチラッとお話ししましたが、軽自動車は道路運送車両法施行規則により車両のサイズ等に規格が定められており、それぞれの条件を1つでも越えると制度上普通車扱いとなります。
昭和24年に軽自動車の規格が定められた当時の規格は、馬力不足の問題や、安全性の向上、メーカーの要望等により、幾度もの改訂が重ねられて、平成8年に現在の規格となりました。変わってないのは「高さ」くらいですね。
○軽自動車規格の変遷
長さ
(昭和24年)2.80m/(現在)3.40m
幅
(昭和24年)1.00m/(現在)1.48m
高さ
(昭和24年)2.00m/(現在)2.00m
排気量
(昭和24年)150cc・4サイクル 100cc・2サイクル/(現在)660cc
定格出力
(昭和24年)1.20kW/(現在)撤廃
そもそも日本の軽自動車制度は、免許や税金などの面を優遇することによって、安価で経済的な小型車の普及を図ろうとして設けられた制度です。第二次世界大戦前は、総排気量500cc以下の小型車は無免許でOKで税金も減免されていました。
さすがに現在は無免許で公道を走ることは出来ませんが、今でも自動車税・重量税・取得税等の面で普通車に比べてかなり優遇されています。
そんな日本の軽自動車規格ギリギリの車といえばダイハツの「タント」です。
タントのコンセプトは「しあわせ家族の感動空間」。そのコンセプトのとおり、タントの室内空間は「これで軽かっ!」と思わずにいられないほど感動する広さで、子育て中のファミリーにはピッタリの車。そのスペックは、
○ダイハツ タント スペック
長さ:3.395m(規格マイナス0.005m)
幅:1.475m(規格マイナス0.005m)
高さ:1.750m(規格マイナス0.250m)
排気量:658cc(規格マイナス2cc)
と、なっており、まさに規格ギリギリの車です。さすがに高さがギリギリじゃないのは、車重が増えてしまうのと、安定性の問題(転んじゃう)からでしょうね。
タントの売れ行きが好調なダイハツですが、今度は「軽自動車のあるべき姿」として、ホワイトルーフがいい感じのコンセプトカー「e:S(イース)」を発表しました。イースは小さい(全長3.1m)・軽い(700kg)・低燃費(30km/L)を突き詰めた車です。
普通車で流行中のハイブリッドシステムの場合、燃費は向上しますが、1つの車体にガソリンとモーター2つのエンジンを乗せる仕組みのため、当然車重は増加するうえ、車両価格の上昇も避けられません。
軽自動車の排気量660cc以下という制限の中では、これ以上重量を増加させると走行性能に問題が発生してきますし、パーツの増加分で車両価格が高額になってしまうのも、軽自動車制度として本末転倒です(お金がないと一夫多妻が成り立たないのと同じ理屈・・・)。
イースは、既存のガソリンエンジンのみでこの低燃費を実現させているため、車重700kgという軽量化に成功し、車両価格も低く抑えられるとのこと。
「軽い=省資源」という点からも環境性能に優れているというのは、ダイハツ工業・箕浦輝幸社長の言うとおり間違いないところでしょうね。このイースは「日本の軽自動車」本来のコンセプトに忠実な車だと思います。
物理学的な根拠による基準ではなく、政治によって定められた日本の軽自動車規格ですが、規格が技術の進歩を後押ししているのも事実。日本のエンジニアは、その規格という壁を乗り越えて新しい技術を生み続けています。
僕は、高い壁があったらその脇を通りますが、死に物狂いでその壁を乗り越えていくエンジニア魂に感服です。

























