キャデラック SRX 試乗レポート

キャデラック SRX 試乗レポート
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プレミアムSUV「キャデラック SRX」がマイナーチェンジ

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フロントスタイルリアスタイル

アメリカを代表する高級車ブランド、キャデラック。そんなブランド内でミディアムSUVと位置づけられる『SRX』が、マイナーチェンジを受けて再度日本でも発売された。もっとも、このモデルのボディ3サイズ(全長×全幅×全高)は4965(“スポーツパッケージ”装着車は4985)×1850×1710mmと堂々たるもの。そう、“ミディアム”という表現は、このモデルの上にエスカレードやESVといったさらに「巨大」なSUVをラインナップする、あくまでもアメリカ国内においてのもの。ちなみに、2955mmというホイールベースや4.6リッター V8と3.6リッター V6という搭載エンジンが同一である点に、『STS』とは兄弟関係にある事が示唆されている。

そんな他の最新キャデラック車ともイメージを共にするシャープな面構成を特徴とするエクステリアデザインは、2001年に発売の『CTS』に端を発する“アート&サイエンス”のテーマに基づくもの。すなわちそれは「デザインとテクノロジーの融合」を示すキーワード。従来よりも若い顧客層を取り込み、アメリカ国内に限らずヨーロッパやアジアにも販路を拡大したいという生みの親であるGM社の思いがそこには込められている。

インテリアの質感を向上&スポーツパッケージを設定

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フロントシートリアシート

2007年モデルとしてマイナーチェンジを受けたSRXのエクステリアデザインは、従来型のイメージを強く受け継いでいる。ただし、オプション設定で“スポーツパッケージ”が選択出来るようになったのが新たなニュース。キャデラックきっての本格スポーツモデルであるSTS-Vのマスクにも一脈通じるメッシュを配したスポーツグリルや、専用デザインの前後バンパー、エキゾーストパイプのクロームフィニッシャー、20インチのシューズなどがその内容。このオプションを選ぶと、機能面ではLSDも採用される。

一方、インテリアに関しては変更点が数多い。ダッシュボードやドアトリムのデザインは一新され、リアドアにもウッドパネルを新採用。従来型に対してひと目で判別が付くのはダッシュボード・センターパネルのデザインが大きく変更を受けた事だが、その新旧いずれをより好ましく思うかは人によって差も現れそうだ。

インテリアの質感は全般に向上しているものの、それでも樹脂部分にはまだ多少“プラスチッキー”な印象が残る部分も。パワー式テールゲートやHIDヘッドライト、リア・クーラーを標準とするなど、さすがに装備は充実している。

よりアメリカンなパワーフィールを味わえるV8エンジン

走行
エンジンメーター

右フロントのドアを開き、ドライバーズシートへと乗り込む。そう、今回のマイナーチェンジのビッグニュースは、アメリカ車久々の右ハンドル仕様が用意をされた点にもある。

“乗用車の骨格”をベースとしたために外観から察するよりも乗降はイージーだが、サイドシルの張り出しが足の運びをやや妨げがちなのは惜しいポイント。トランスミッションの張り出し幅が大きいため、アクセル/ブレーキペダルは全体にやや右へとオフセット。電動でペダルを前後(奥行き)方向に位置調整可能なので、シート、ステアリング位置に対しては理想的な位置を決めやすいが、前述のごとく下半身はやや右を向き加減。特に、左足ブレーキを日常とする人にとってはちょっと違和感が残りそうだ。

加速の力感、エンジンの発するパワーフィールを含め、「よりアメリカン」な感覚を色濃く味わえるのはやはり4.6リッターのV8モデル。今回は“スポーツパッケージ”付きをこのV8モデルで試したが、ボディやステアリングにもブルブルとした振動感が走行中常に伝わり、率直なところ「20インチのシューズはあくまでも見た目優先のアイテムで、機能上はややオーバーサイズ」という印象を拭う事は出来なかった。

一方、前述のようにパワーフィール的にはやや物足りなさも感じるものの、フットワークの仕上がりはV6モデルの方がリーズナブルな印象。V8モデルには今回6速ATが奢られたので、100km/hクルーズ時のエンジン回転数は1600rpmほどと低い。やはり高速道路をゆったりと流すのが最も似合いそうな1台でもある。

日本のSUVに対して大きく異彩を放つ存在

イメージエンブレム

今回の右ハンドル仕様は、「日本のマーケットでの販売を意識して開発した」と聞いてちょっと驚いた。もちろん、左側通行のマーケットで真剣な商売をしようとすればそこに右ハンドル仕様を用意するのは当然の事ではあるのだが、それでもSRXは日本で年間何千台も売れるというモデルではないはず。となると、ステアリング他様々な部分に手を加え、ダッシュボードの型なども専用で起こすなど莫大な費用を必要としたはずのこうした行為が、きちんとした利益を生み出すシナリオの上で成立したものであるのか? と人事ながら心配になってしまったからだ。

一方で、多分に“趣味の要素”が重い比重を持つはずの日本での輸入車でありながら、何とも醜く、全体の個性的なスタイリングを台無しにしてしまいかねない補助ミラーが平然とそそり立ったりしている点には首を傾げざるを得ない。正直、「同じコストを掛けるなら、右ハンよりこのミラーを何とかして欲しい」という思いを抱く人は少なくないはずだ。実際、輸入車を含めた多くのSUVが、すでにこの点をカメラとモニターによって解決させているのだ。

とはいえ、ヨーロッパや日本のSUVに対しては大きく異彩を放つ存在がこのキャデラック発のSRX。「最近は、どのSUVも似通ってきて・・・」とそんな思いを抱く人にはなかなか興味ある存在と映るはずだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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