キャデラック ATSセダン プレミアム[2015年モデル] 試乗レポート／今井優杏(1/4)

ライバルひしめく激戦区ゾーンでひときわ輝く「エエ感じのスポーツセダン」

ガチ競合となるのはBMWの「3シリーズ」やメルセデス・ベンツの「Cクラス」、アウディ「A4」と、世界中はおろかその取り回しのきくサイズ感から、このエリアは日本でも引く手あまたの激戦区である。まあそうなれば街でのカブり率も相当なもので、右も左もCクラス、みたいな信号待ちのシーンが発生することも想像に易く、「エエ感じのサイズのセダンが欲しいんやけど、みんな乗ってるのはイランしなぁ」と購入を躊躇している諸兄もいらっしゃるかもしれない。

ではこの選択肢はどうだろうか。キャデラックのエントリーモデル「ATS」である。

乗る人の個性を際立たせる選択肢「キャデラック ATS」

扱いやすいサイズでありながらもアメリカン・ブランドならではのギラっと感を身に纏(まと)い、ちょっと他にはない個性をむ～ん！と濃厚に漂わせる一台だ。正直、スタイリング的にはほかのどの競合欧州車にも負けていないと思う。どこに乗って行っても相当にイバりの効く存在感は稀有だし、キャデラックというちょっとヒネりのある選択は、乗る人の人間性に奥行きを持たせてくれる……かもしれない。だってあなたの知人がこのクルマに乗っていたら、ちょっと気になるでしょう。どうしてこのATSを選んだの？って。

だけど現在のキャデラックの大本命世界戦略車のうちの一台であるこのATS、独自のスタイリングに包まれたそのナカミも、きっちり欧州の強豪たちと戦える仕上がりになっているのだ。見かけ倒しではない。

一見コワモテだから、もしかしたら結構損なタイプかもしれない。意外なほどにきっちりと作り込まれた運動性能に、いい意味で驚くはずだ。

[大きく変わった2015年モデル・・・次ページへ続く]