BMWが新たなクルマ販売を模索、カーディーラーの「役目」が変わる?(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:BMW ジャパン/桃田健史
アメリカで起こっている緊急事態が日本にも!?
日本でも緊急事態が発生したのか!?昨年夏から東京・お台場で建設中だった、BMWの巨大なディーラー施設を横目に見ながら、そうした「不安」を抱いていたが、どうやら日本での事情は違うようだ___
時計の針を少し戻すと、2015年1月の米ミシガン州デトロイト。米大手自動車媒体のオートモーティブ・ニュース社が開催した毎年恒例のカンファレンスに登壇したBMW USA幹部のプレゼンを聞いた業界関係者は皆、ぞっとした気持ちになった。
同社の調べによると、アメリカでのBMW新車購入者が、お目当てのクルマを買うまでにBMWディーラーを訪問した回数は、2003年には平均4回。それが、11年後の2014年には、たったの1回になったという。
アメリカでは、新車購入した際、ナンバープレートの仮登録を行えば、顧客は新車をその場で「お持ち帰り」できる。つまり、ディーラー訪問回数1回とは、新車を受け取りに来ただけで、商談のためには「一度もディーラーに来なかった」ことになる。ネット社会の発展により、カーディーラー網のあり方が大きく変わった結果だ。
こうした事態に対して、講演したBMW USA幹部は「アメリカでは、カーディーラー不要論が出てきている」と、将来のビジネスに対する危機感を露わにした。
そのうえで、新たなる事業戦略を進めると強調した。それが、「エクスペリエンス・センター」の開設だ。
カーメーカーとしての原点回帰!「乗ることの提供」
ここでは、ミニサーキットを併設し、BMWの全モデルがいつでも試乗可能。また、BMWのデザインや、ブランド戦略全般について顧客やディーラー関係者にレクチャーするスペースも確保している。
カーメーカーとして、顧客と「フェイス・トゥ・フェイス(直接対面すること)」を第一と考えるため、原点回帰ともいえる「乗ることの提供」を行うものだ。
実は、この考え方の原型がBMWコリアにある。ソウルモーターショーを取材した際、BMWの展示ブースでは、「エクスペリエンス・センターコリア」でのドライビングレッスンの模様が詳しく紹介されていた。
こうした考え方が、日本にも導入されるのか?
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