BMW 新型X3 試乗レポート/岡本幸一郎(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
7年振りのモデルチェンジは期待を裏切らない完成度!
エンジンは、2グレードのいずれも3リッターの排気量を持つ直列6気筒の自然吸気とターボとなり、いずれも8速ATが組み合わされるが、最終減速比が異なる。
ターボのxDrive35iは、すでに同じエンジンを積む5シリーズよりも印象が良くなっており、上まで回したときにふん詰まる印象もない。
とはいえ、動力性能はxDrive28iの自然吸気エンジンでもまったくもって十分。
xDrive35iとxDrive28iの違いは、高速道路での追い越し加速のような場面では、やはり過給の有無による差が顕著に表れるが、60km/h以下の市街地走行が主体であれば、それほど差は大きくないとお伝えしておこう。
また、X1にはまだ採用されていないアイドリングストップ機構を備えたことも特徴だ。
一つ、惜しまれるのはブレーキだ。
といってもストッピングパワーに不満があるわけではない。ブレーキエネルギー回生システムを効かせすぎているせいか、踏力を一定にしていても、途中でフィーリングが変わってしまうのだ。
これは、スムーズな運転を妨げる要因にもなるので、改善に期待したいところである。
両グレード間には100万円近い価格差があり、おそらく日本では圧倒的にxDrive28iの販売比率が高くなると思われる。
しかしxDrive35iには、上質なエクステリアとなる「X-Line」パッケージやシートヒーターの付く上質なネバダ・レザーシート、前述のダイナミック・ダンピング・コントロールや19インチタイヤ&ホイールなど多くの装備が標準で付く。
そのため、同等の装備をxDrive28iに付けることを考えると、実質的な価格差はとても小さくなることをお伝えしておきたい。
選択のポイントは、やはりどのくらいの動力性能を求めるかだ。
むろん実用燃費のことも含めて考えるべきだが、プラスアルファの装備をそれほど求めず、できるだけ安くX3を買いたいという人のみが迷わずxDrive28iを選ぶべきで、それ以外の人は綿密に比較検討したほうがいいのではと思う。
いずれにしても、もっと高価なクルマを買えるお金はあっても、このサイズがいいという人にとって、一連の高い完成度を誇る新型X3は、現状の最有力候補と考えていいだろう。
なかなか変わらないと感じていたX3が、モデルチェンジして一気に良くなった。名声を得た初代の後継車としての期待にしっかり応えるクルマに成長していたことは、頼もしい限りである。
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