BMW X1 海外試乗レポート/日下部保雄(2/2)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:BMW Japan
滑らかなハンドリングが極めて心地良い
試乗したのは、直列6気筒の3リッター自然吸気エンジンを積む28i。
名称とは違って排気量は3リッターで、エンジン特性は低速回転での粘りと燃費を重視したタイプだ。それでもやっぱりエンジンはBMWの真骨頂。特に世界でも稀になった直列6気筒エンジンは、気持ち良くしっかりと回る。
出力258ps/6,600rpm、最大トルクは310Nmを2,600rpmで出していることからもわかるように、エンジンを高回転まで上げてパワーを出すタイプではなく、実用回転域での使いやすさを重視している。
SUVとしては理にかなっている、とは言いつつ高速でのパフォーマンスも十分で、アウトバーンでも追い越しは余裕で排気量に相応しい実力を持っている。
28iでは減速エネルギーを積極的にバッテリーに溜め込むなど、BMW最新のエコ技術が使われており、この面でも今できることを最大限に使っている。
X1は、Xシリーズとしては初めてFRのS-Driveをラインナップに加えているが、28iは勿論AWD。18iがS-Driveとなる。28iのX-Drive(AWD)は、X6に初めて使われたダイナミック・パフォーマンス・コントロールに近い、凝った4輪の制御を行う。
X6では、後輪左右の駆動力を積極的に変えて旋回力や安定性を向上させるが、X1では後輪左右の駆動力配分は、エンジントルクを都合のよい方に流すシステムで、AWD用のESC(姿勢制御装置)と組み合わされるかなり高度の駆動力制御が出来、安定性と駆動力、両面でX1の機動力を大きく高める。
特にラフロードや雪道では効果的だし、オンロードでも、ドライバーのミスをかなり助けてくれるに違いない。そして3シリーズサルーンのような滑らかなハンドリングは極めて心地よく、ドライブするのが楽しくなるのは間違いない。
ハンドリングはサマータイヤに近いタイヤを採用していることもあって、軽快でフットワークは良い。高速レーンチェンジも滑らかで、SUVに乗っているイメージは極めて希薄だ。 X1は1シリーズのワゴンとしても十分に機能的で、X-DriveはもちろんSUVらしく、FRのS-Driveでもその使いやすさを堪能できるだろう。
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