【BMW Hydrogen 7】 モビリティの未来を切り開く水素自動車(2/2)
- 筆者: オートックワン 編集部
- カメラマン:原田淳
ガソリンと水素の走行の違いを感じることは難しい
エンジンの始動は、冷間時にガソリン・エンジンをスタートさせたときに発生する汚染物質排出を避けるため、水素モードで行われる。燃料モードの切り替えはステアリングホイールのH2スイッチを押すだけ。走行中でも切り替えが可能で、その切り替えはスムーズ・・・というより“気付かない”と言った方が適切かもしれない(耳を凝らせば、後方から切り替え音を感じることはできるが)。切り替えるとメーター内に「H2」の文字が表示される。街中での試乗であったが、走行フィールは乗り味は、BMWそのもの。ガソリン時と水素時の違いを感じることは難しいだろう。「H2」の文字がなければ、自分が今どちらの燃料で走っているのかわからないくらいであった。
水素タンクは、トランクとリアシートの間に置かれている。全方位安全コンセプトにより、タンク形状は積載性よりも安全性を重視。その結果、トランク容量は小ぶりになるが、量産車としてBMWの市販車と同じ全てのテストをクリアしている。タンクには、水素をマイナス253度で液化し1,000分の1の体積になった液体水素を約8キロ貯蔵することができる。また、従来通り搭載するガソリン・タンクには74リットルのガソリンを充填することが可能。
タンクはアルミ製とガラス繊維製の複数の層で構成された二重構造。これは、直径17メートルの発砲スチロールの筒に入れるのと同等の断熱効果があり、氷を入れて完全に溶けるまで13年かかるそうだ。
水素漏れにも徹底した配慮がなされている。まず、エンジンを切るときは水素は全て外に出される。タンクには2個の二重安全バルブが装着され、圧力が異常に上昇した場合、二重安全バルブによって制御されたプロセスで気体水素を大気中に放出。1つ目のバルブが開くと水素はCピラーのセーフティ・パイプを通って車両ルーフに達し、そこから大気中に放出される。2つ目のバルブは水素ガスを車両のフロア下まで運び、そこから放出する。
車両全体には5箇所にセンサーが設置され、センサーが水素を検出 した場合には、即座にドア・ロック・ノブの赤色の発光ダイオード(LED)式警告灯が点灯。走行中の場合は、さらに別の警告灯がメーター・パネル内で点灯するだけでなく、警告音を鳴らしてドライバーに注意を促する。水素がシステムから漏 れた場合でも、これらの制御機能が水素の供給を自動的に遮断し、BMW Hydrogen 7 は自動的にガソリン・モードに切り換わり、自動的にサイド・ウィンドウを開ける。
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