BMW 新型X5 海外試乗レポート/大谷達也(2/2)
- 筆者: 大谷 達也
サイドのウィンドウグラフィックも、控えめながらすっきりしたデザインに改められている。テールゲートの形状もクーペスタイルを思い起こさせるもの。こうした処理は、スマートで、前後に長く伸びやかな印象を与えるために取り入れられたようだ。ちなみに全長は3cmほど延長されたが、これも室内スペースの拡大に加え、クルマの視覚的な“伸びやかさ”を演出するために採用されたという。
インテリアデザインも特徴的だ。ダッシュボードの中央部分に、長く水平に伸びるフェイシアは上下に2分割されており、たとえば上側はウッド、下側はピアノブラックといったように異なる素材を組み合わせている。その上に覆い被さるように設けられたレザー製のパーツは、まるで波が幾重にも重なり合うような造形だ。これらは、強烈な個性を生み出しているとまではいえないけれど、なかなか上品で、見れば見るほどそのこだわったデザインに魅了されることだろう。
ディーゼルエンジンとガソリンエンジン、あなたならどっちを選ぶ?
最初に試乗したのは、新型でも主力となることが期待されているxDrive35d。
まずはエンジンを始動すると、現行型とははっきり異なるノイズの穏やかさ、バイブレーションの小ささに驚くことになる。しかも、クルマを発進させて巡航速度に達すると、ほとんどエンジンの音が気にならなくなる。これだったらディーゼルだからといって毛嫌いしていた層にも受け入れられるそうだ。
また、追い越し加速でスロットルを強く踏み込んだときのパワーの出方が滑らかになったほか、大人しく走る際のドライバビリティも大幅に改善されている。しかも、ディーゼルながらトップエンドまで回りきる美点はそのまま息づいているので、ゆっくり流すのも高速道路を急ぐのも得意そう。また、乗り心地はサスペンションが軽やかに動く印象が強まり、実に快適だった。
「ディーゼルがこんなに快適だったら、ガソリンなんてもう要らないだろう」と思いながらxDrive50iに乗り換えたところ、よくできたxDrive35dよりもさらに静かで快適な空間が待っていた。特に巡航時のエンジンノイズは無音に近く、回転フィールはどこまでも滑らか。それでいながら、トップエンドではxDrive35dを圧倒する加速力を発揮する。X5をサルーンとして使おうとしている人には最高の選択といえるかもしれない。
とはいえ、個人的にはディーゼルの静粛性で十分だと思うし、xDrive50iよりも低速域のトルク感が豊かなxDrive35dに強い魅力を覚えた。
さて、あなただったらxDrive35dとxDrive50iのどちらを選ぶだろうか? 日本には2013年中に導入される予定である。
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