BMW 6シリーズ グランクーペ 試乗レポート/石川真禧照(2/2)

BMW 6シリーズ グランクーペ 試乗レポート/石川真禧照
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その実用性は4ドアクーペでトップクラス!

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試乗のメインはガソリンエンジンの640i。走り出す前にリアシートなどをチェックする。4ドアクーペとしては後発組の実力の一端は、居住空間の広さも重要だからだ。

リアドアを開ける。CLSよりも23mmも全高が低いのだが、乗降性は意外にも良かった。ドア上縁に頭をぶつけることもなく、座っても頭上の空間や顔の横の圧迫感もない。着座位置が高めなので、閉所感もない。確実にCLSよりもリアシートの快適性は上だ。

ただし、BMWはこのリアシートを3人掛けと主張しているが、中央の人は前方から延びる大きなセンターコンソールを足の間に挟まなくてはならない。これはちょっと無理がある。

トランクも奥行は1110mmなので、CLSとほぼ同じ。でも、左右幅は1380mm、高さも510mmあり、グランクーペのほうが広い。実際に試乗会場に用意されていたゴルフバッグも4セット収納できた。

背もたれは6:4で分割可倒し、アームレスト部分でのトランクスルーも備わる。6シリーズ グランクーペは、実用性ではトップクラスの4ドアクーペといえる。

ラグジュアリーさと品の良さでは文句なし!

BMW 6シリーズ グランクーペ

次に走行性能だが、スタートしてからの直列6気筒3リッターターボエンジンは、相変わらずスムーズ。バランスよく一気に7200回転まで上昇するときのフィーリングは、いつ味わってもスカッとする。

8速ATは、エコプロ、コンフォート+、コンフォート、スポーツ、スポーツ+のモードが選択できる。サスペンションもこのモードに合わせて、硬さが変わる。4WS(4輪操舵)も装備されている。

このエンジン、ミッション、サスペンションの組み合わせは常に安定、安全方向に作用する。今回の試乗コースだったイタリア・シチリア島の路面は独特の滑りやすい舗装なのだが、不意のリアタイヤのブレイクにも、瞬時に、安全に対処できる。安心してスポーツドライビングが楽しめた。

個性という点では大人しいが、ラグジュアリーさと品の良さでは文句なく一番の4ドアクーペといえる。

なお、今回の試乗会で用意されていたもうひとつのモデル、3リッターディーゼルターボエンジンを積んだ「640d」は、左ハンドルのみの設定ということで日本での販売は予定されていない。

しかし、試乗してみるとアイドリング時のエンジン音は、若干大きいものの、走り出してしまえば2,000回転からの太いトルクで、とても軽快に走る。0~100km/h加速も6秒台とガソリン車と同レベルだった。

燃費もリッター10km近くまで伸びる。ぜひ今後、輸入してほしい1台だ。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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