BMW M6 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:BMW グループ・ジャパン
BMW M6 海外試乗レポート
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M6というのは「まさにポルシェ911を脅かすほどのリアル・スポーツカー」

ところで、こうして「パワーパックがM5から移植された」M6ではあるものの、その走りのテイストが予想以上に異なったものであるのには少々驚かされた。

まずは「触媒から後ろの部分の排気系をM6用にデザインし直した」というエンジンの発するサウンドが、M5のそれとはハッキリと違う。まるで新型ポルシェ911ばりの派手な“破裂音”を轟かせるM6の心臓は、もうそれだけで低中回転域では随分とジェントルな雰囲気で回るM5のそれよりも、一段とパワフルであると感じられてしまうくらいだ。

ハッキリ体感出来るとまでは言い難いものの、データ上では加速力もM5のそれをさらに上回る理屈。M6はM5よりも50kg近く車両重量が軽い。ホイールベースがM5よりも10cmほども短い事に加え、ルーフパネルに軽量・高強度で知られるCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を採用するなど、M5以上の軽量化策を追求した結果がそうしたデータを生み出す事になるわけだ。一方、フットワークのテイストもM5のそれとは微妙に異なった。

ハンドリングの自在度がM5以上に高く感じられるのは、前述のホイールベースの違いからも納得が行く事柄。が、このクルマの場合、それと同時に低速域から乗り心地のしなやかさもこちらが上と感じられる点が興味深かった。要は「よりスポーティであるのにより快適性も高い」のがこちらM6の走り味と言える。極めて剛性感の高いボディが入力した振動をすぐさま減衰させてしまうという感覚も、そうしたしなやかな乗り味に拍車をかけているのは間違いないだろう。

今回のテストルート中には、一般路と共に本格的なサーキット走行のシーンも加えられていたが、そうしたシーンで感心をさせられたのが、前述のハンドリングの自在度の高さと共にとかく不安定となりがちな減速時の安定感が常にかなり高度なものであった事。

長いストレートからきついコーナーにターンインする際、ブレーキングとステアリングの切り始め操作が例えある程度ラップをしたとしても、テールは容易に流れたりはしない。率直なところ、ハードな使用を連続した際の耐フェード性に関してはポルシェ各車(911/ボクスター)ほどのタフネスぶりを感じる事は出来なかったブレーキだが、それでも高い信頼度でギリギリまでブレーキングの開始を遅らせる事が出来たのは、実は前述のような安定感の高さがあったからこそでもある。

テストドライブ直前のカンファレンスで、M6をプロデュースした『BMW M社』の担当者は、盛んに「M6はリアル・スポーツカーである」と繰り返した。すでに昨年、M5のテストドライブを体験済だったぼくは「確かに驚くほど速いには違いないけれど、ラグジュアリー・クーペという雰囲気が強い6シリーズをベースにしながら果たして真のスポーツカーが演じられるかナ…」とちょっと懐疑的にも思えたものだ。

しかし、すべてのテスト・プログラムを終えて日本に帰ってきた今、振り返ると彼らの言っていた事が決して誇張などではないのを認めざるを得なくなっている自分に気付く。そう、M6というのは「まさにポルシェ911を脅かすほどのリアル・スポーツカー」であったのだ!

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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