俺達の“M”が帰ってきた!BMW「M2クーペ」をラグナ・セカで試す!(2/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:ビー・エム・ダブリュー株式会社
デビューが決まった瞬間から「楽しいクルマに違いない」という確信を抱く
2シリーズ自体が、このクラスでは貴重なFRクーペだった。
だから、E46 M3とほぼ同等のサイズと重量で、しかもパワースペックでは上回るというM2がデビューすると知った瞬間から、楽しいクルマに違いないという確信を抱いた。お得意の前後重量配分50:50もまた、このクラスでは稀有なスペックだろう。
搭載されるエンジンは、MパフォーマンスモデルのM235iにも積まれていた、N55型オープンデッキタイプの3リッター直噴直6シングルターボエンジンをベースに、専用トップリングを組み込んだピストンやクランクシャフト・メインベアリングといったM4エンジン(S55)用コンポーネンツを組み込んでいる。
極限域におけるオイル供給を安定させるためのオイル・サンプ・カバーやオイル・サクション・システムを追加するなど、サーキット領域での使用を前提にしたM社ならではというべき数々のチューニングアップも追加された。
さらに、M DCT(デュアルクラッチ)モデルにはオイルクーラーも備わっており、エグゾーストシステムも専用とするなど、パワートレーンまわりの仕立てはさすがにMらしく、ぬかりなくまとめられている。
ちなみに、本国仕様には3ペダルの6MTの用意もあったが、今のところ日本への導入予定は無い。M235iとM4にはあって、どうしてM2のMTは入れてくれないのだろう?
残念ながら日本に導入されない6MTを試す
日本には残念ながらやってこないという3ペダル仕様を借り出して、まずは一般道へ駆り出す。
ルートは、カーメルやペブルビーチといった有名リゾート地を脇目に、カリフォルニア1号線をひたすら南下して折り返すという、清々しいオーシャンドライブコースだ。
公道を走りはじめた途端、「これは、良く出来たクルマだ」という実感が早くもこみあがってきた。
ステアリングからサスペンション、トランスミッション、エンジンまでドライバーが感知するすべてのフィールがバランスよく洗練された動きをみせる。特に、微小領域での動きや手応えが素晴らしい。それ故にとても乗りやすく、途端に身体が馴染んでいく。
Mらしい過激さはというと、軽く踏み込んでみたときに右足の裏が潜在的に感じる豊かなトルクと、控えめながらも存在感ある自然なサウンドを奏でる直6エンジンフィール、あたり。
なかでも感心したのは、シャシーの動きに見事な連動感をみせるステアリングフィールだった。
M2のEPSにはドライブモードにあわせて二種類の重さが与えられているが、いずれを選んでも微小域のスムースな動きに加え、全体の動きも過敏さを排したシャープさで常に正確。しかも、旋回途中からハンドルを戻す際の手応えもたまらなくいい。
回して、戻す。その一連の動作の間に、ずっと気持ちいいステアリングフィールなど、EPS化が常識となった昨今、ほとんど味わうことなどできなかったから、思わず感動してしまった。
ちなみに、タイヤは19インチのミシュランのパイロットスーパースポーツだ。
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