ahead 12月号- BMW 4シリーズ ~岡崎五朗のクルマでいきたい~
- 筆者:
美しく走り贅沢に寛ぐ3シリーズの後継クーペ
BMWのニューフェイスである4シリーズクーペは、要するに3シリーズクーペの後継モデルだ。ではなぜ3シリーズではなく4シリーズと名乗るようになったのか?
理由は二つある。ひとつは分かりやすさ。6シリーズクーペは従来からあったものの、今回からBMWはラインアップ全体を通して、クーペに偶数番号を与えることにした。5ドアハッチバックの1シリーズをベースとしたクーペの名前も2シリーズだ。
もうひとつの理由は、より明確な差別化にある。セダンの3シリーズをもとにつくったクーペではなく、独自のキャラクターを持つ存在であることを印象づけるためには、独立したネーミングが必要だとBMWは考えたのだろう。エンジンやサスペンションといった主要メカニズムは3シリーズと共用しているだけに、考えようによってはマーケティング主導の言葉遊びにも思える。が、オーナーになったときの気持ちを想像してみると、何乗ってるの? と聞かれたとき、3シリーズのクーペと答えるよりは、4シリーズと答えた方がなんだか嬉しいのではないか…という気がしなくもない。
先代3シリーズクーペのボディパネルはセダンと100%異なっていたが、4シリーズのボンネットフードはセダンと同じもの。しかし見た目の差別性は先代のとき以上だ。セダンと比べて55㎜低く、25㎜ワイドで、45㎜長いボディは、肉感的でありながら伸びやかかつエレガントでもある。しかしもっとも印象的だったのは走りだ。大幅な低重心化とワイドトレッド化の効果でコーナーでの接地感と安定感がハンパじゃない。これぞオンザレール感覚。435iが積む3L直6ターボの“味の濃さ”も格別だ。美しく走りのいいクーペでありながら大人4人が寛げる室内スペースを持っているのも魅力。我慢のないちょっと贅沢なクーペライフを送りたいなら最高の相棒になるだろう。
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