レクサス 新型IS vs BMW 320d どっちが買い!?徹底比較(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
フロントシートは、両車ともに体をしっかりとホールド。座り心地も満足できる。
リアシートは、両車ともに着座位置が低めで腰が落ち込む。全高が1450mmを下まわるので、着座位置も下がった。座面は320dが硬めで日本のユーザーにはIS300hが快適に思えるが、着座姿勢を安定させやすいのは320dになる。
身長170cmの大人4名が乗車した時、リアシートに座る同乗者の膝先空間は、両車とも握りコブシ2つ少々。従来型のISはリアシートが窮屈だったが、新型はホイールベースを70mm拡大して余裕を持たせた。頭上の空間はセダンとしては狭めだが、320dに若干の余裕がある。リアシートに座った同乗者の足がフロントシートの下側に収まりやすいことも、320dのメリットだ。
カーナビなどは標準装着され、装備の細かな違いはあるが、同等と考えて良い。
JC08モード燃費は、IS300hが前述のように23.2km/L、320dは19.4km/L。燃費はIS300hが優れるが、320dが使う軽油の価格は1リッター当たり135円前後だ。レギュラーガソリンよりも20円ほど安い。実用燃費をJC08モードの85%として計算すると、1万km当たりの燃料代はIS300hが約7.9万円、320dが8.2万円。燃費から判断する限り、燃料代は同等と考えて良い。
【レクサス 新型IS vs BMW 320d ~“総合評価”徹底比較~】
以上のようにIS300hと320dは格好のライバル同士。IS300hは日本車とあって、さまざまな点で扱いやすい。320dは走りに関する緻密な造り込みに特徴があり、ほかのBMW車と同じく運転を楽しむ傾向が強い。
嗜好品的な性格の強いクルマとあって、ユーザーの趣味性に応じて選ぶべきだが、先に触れたようにISは上級セダンながらもスポーティー指向で開発された。その意味では、3シリーズが先輩格に当たり、熟成が進んでいる印象を受けた。
特にハイブリッドは、穏やかに走るのが適した低燃費指向のパワーユニット。組み合わせる車両としては、クラウンのロイヤルサルーンの方が似合っている。
その意味ではISは250/350が本流といえるが、前述のようにアイドリングストップも付かず燃費性能も伸び悩む。大排気量エンジンはアイドリング時の燃料浪費が多く、ストップさせる機能が必要だが、装着されていない。
開発者によれば「アイドリングストップを付けるにはセルモーターを含めて大幅な設計の見直しが必要」とのことだが、偏りなく環境対応を図ることも、今日のプレミアムブランドには不可欠の姿勢。そもそも今のアイドリングストップは、メーカーを問わず日本車ではエコカー減税の達成手段になった。減税対象外の国産乗用車には、一切装着されていない。そうなるとやはりISのベストは300hだ。
ハイブリッドはトヨタが世界に誇れる低燃費技術。プリウスは国産、輸入車を問わず日本で手に入る最高峰の買い得車だが、ハイブリッドを運転の楽しい趣味性の強いクルマに搭載すると、少なからず矛盾が生じてしまう。ISには1.5~2リッタークラスの燃費性能が優れた直噴ガソリンターボが相応しいと思う。
この記事にコメントする