直3 1.5リッターターボ搭載の新型「BMW 318i」はカジュアルに楽しめる通好みの3シリーズだ[試乗]

直3 1.5リッターターボ搭載の新型「BMW 318i」はカジュアルに楽しめる通好みの3シリーズだ[試乗]
BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎 画像ギャラリーはこちら
BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎

2016年10月、BMW 3シリーズの新たなラインナップとして、直3 1.5リッターガソリン直噴ターボの新世代モジュラーエンジンを搭載した「318i」が追加された。パワーや騒音の面で不利な小排気量エンジンを高級スポーツセダンの3シリーズへ搭載するにあたり、BMWはどう仕上げてきたのか。試乗レポートを届けてくれたのは自動車評論家の渡辺陽一郎さん。直4 2.0ターボ「320i」との違いなど、気になるあれこれについて、徹底解説してくれた。

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往年の高級セダンを想わせる通好みなベーシックグレードの登場

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プレミアムブランドとされる今の欧州車は、小排気量ターボが普及したこともあり、動力性能を全般的に向上させた。しかし1980~1990年代は、ベーシックなグレードには少し非力なパワーユニットを組み合わせていた。例えば当時のW124型メルセデス・ベンツ ミディアムクラス(マイナーチェンジ時に「Eクラス」名へ変更)に用意された230Eは、直列4気筒の2.3リッターを積む。最高出力は135馬力程度だが、エンジンが軽いために6気筒の300Eなどに比べると操舵感が軽快で、動力性能とシャシー性能のバランスも後者が勝っていた。上質で安心感の伴う独特の運転感覚が特徴で、通好みのグレードだった。

BMW3シリーズは、古くから直列4気筒の2リッターが主力。排気量には比較的余裕があったが、最高出力は130~150馬力程度だ。ターボを装着した今日の320iは184馬力だから、やはり当時は動力性能が抑えられていた。

しかし実際に運転すると、動力性能の数値の割に、加速力は活発であった。ボディが軽かったこともあるが、高回転域までしっかりと回り、性能をフルに発揮する楽しさを併せ持つ。排気量をむやみに拡大せず、エンジン性能を合理的に活用する考え方は、今日の小排気量ターボに通じているように思う。

BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎

このように排気量が少し小さなプレミアムブランド車をご存じの通好みな読者諸兄にとって、2016年10月に追加発売されたBMW3シリーズの新型「318i」は、興味のあるモデルだと思う。

ターボを備えた昨今のBMWでは、車名の数値がすなわちエンジンの排気量を示す訳ではない。かつての318iは、1.8リッターエンジンを搭載する3シリーズのベーシックなモデルとして、ベテランのクルマ好きには懐かしい車名だろう。

果たして新型318iは、往年の318iを想わせるモデルなのだろうか。試乗してみることにした。

直3 1.5リッター直噴ターボの新世代モジュラーエンジンを搭載

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新しい318iが搭載するエンジンは、直列3気筒の1.5リッターターボだ。BMW2シリーズアクティブツアラー、BMWミニなどに幅広く使われる新世代モジュラーエンジンになる。吸排気バルブのタイミングを無段階に調節するダブルVANOSなど、数多くのBMWに使われるメカニズムを採用した。

最高出力は136馬力(4400回転)、最大トルクは22.4kg-m(1250~4300回転)なので、ターボを装着しない自然吸気エンジンに当てはめると最高出力は1.8リッタークラス、最大トルクは2リッターを少し超える水準だ。

318iはセダンとツーリング(ワゴン)の両方に設定され、グレードは318i SE(スタンダード)/318i/318i Sport(スポーツ)/318i Luxury(ラグジュアリー)/M Sportの5種類になる。

318iセダンの車両重量は1550kgで、直列4気筒2リッターターボの320iに比べて30kgほど軽い。試乗車はセダンの318i Luxuryであった。

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高回転型ではないが軽快でメリハリの効いたエンジン性能

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試乗を開始して気付いたのは、エンジンのノイズが意外に大きく響くことだ。3気筒エンジンの宿命でもあるが、320iとの違いは小さくない。今のBMWでは、320dが搭載する2リッターのクリーンディーゼルターボが大幅に静かになったから、ラインナップされるエンジン同士の相対評価でも、1.5リッターターボのノイズは不利になる。

最高出力は前述のように4400回転で発生する設定で、ガソリンエンジンとしてはかなり低い(ディーゼルの320dが4000回転)。しかし吹き上がりは軽快で、5000回転を超える領域まで機敏に回る。

高回転域まで回しても性能的なメリットは乏しいが、峠道などを走ると、シフトアップ/ダウンを頻繁には行いたくない。最高出力の発生回転は低くても、318iなら幅広い回転域を使えるガソリンエンジンのメリットを十分に味わえる。

またATは320iなどと同じ8速タイプだから、走行状態によっては高回転域を維持できる。これもパワーを出し切る上でメリットになる。CVT(無段変速AT)でも高回転域を保てるが、エンジンがアクセル操作にダイレクトに反応するメリハリの良さは、有段式ATならではの魅力だ。

2リッターターボと比べた時の動力性能や加速性能の受け取り方は、ユーザーによって異なるだろう。先に述べた1980~1990年代の小排気量車が好きなユーザーなら、エンジンをフルに回すことが楽しく感じると思う。

高レベルな走行性能ゆえ、動力性能にはやや不満も残る

BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎

逆に優れた走行安定性とのバランスを考えると、318iは少し性能不足で、320iがちょうど良いという見方も成り立つ。

走行安定性は、320iに比べてボディが若干軽いこともあり、軽快感がさらに向上した。ハンドルを少し切った時から車両の向きが忠実に変わり、ドライバーが一体感を得やすい。十分な走行安定性を確保しながら、カーブを曲がる時には操舵角に応じて車両が確実に回り込む。後輪駆動による前後輪の優れた重量バランスと、それを実感させる正確な運転感覚は3シリーズのメリットで、318iでも十分に実感できた。

乗り心地はグレードによって異なるが、318i Luxuryは17インチタイヤ(225/50R17)を採用しており、粗さを感じさせない快適性が特徴だ。タイヤの銘柄はブリヂストン ポテンザS001で、指定空気圧は前輪が220kPa、後輪が240kPaとなる。タイヤのサイズと銘柄(ポテンザS001はスポーツ指向のタイヤでも乗り心地に配慮したバランス型)、指定空気圧などが適度で、走行安定性と乗り心地を高い水準で両立させた。

ちなみに最近のミドルサイズのスポーティーカーは、日本車、輸入車を問わず18/19インチタイヤを積極的に採用するが、バランスの良くない車種も多い。だからといって16インチではグリップ性能が不足しやすい。318i Luxuryの17インチは、車両重量が1300~1500kg前後の車種では、ベストなサイズといえるだろう。

318iの気になる燃費、そしてコストパフォーマンスはどうなのか

BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎

318iの価格は318i SEを409万円に抑え(ただしレーンディパーチャーウォーニングなどが省かれるので推奨できない)、試乗した318i Luxuryで489万円になる。320i Luxuryの552万円に比べて63万円安い。

318iではストップ&ゴー機能付きアクティブクルーズコントロールが、全車にわたり非設定になってしまう。この点は残念だが、そのほかの装備は320iとほぼ同じだから、価格差を考えると318iを若干割安にしたようだ。

従って318iは、前述のエンジンノイズと、渋滞を含む高速道路での移動に便利なアクティブクルーズコントロールの未装着が気にならなければ、3シリーズの買い得モデルといえるだろう。特に、市街地の移動を主な用途とするユーザーなら、動力性能にも不満はないと思う。

JC08モード燃費はセダンが17.2km/L、ツーリングが17km/Lだから、320iの16.0km/L・15.4km/Lよりも8%ほど優れている。プレミアムガソリン仕様ではあるが、燃料代は妥当な範囲に収まる。BMWは新型318iを、馴染みやすいカジュアルな3シリーズに仕上げた。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:茂呂幸正]

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BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 主要諸元

BMW 新型3シリーズ「318i Luxury」[直3 1.5リッター ガソリン直噴ターボエンジン搭載] 試乗レポート/渡辺陽一郎

全長x全幅x全高:4645x1800x1440mm/ホイールベース:2810mm/車両重量:1550kg/乗車定員:5名/駆動方式:後輪駆動(FR)/エンジン種類:直列3気筒 DOHC BMW ツインパワー・ターボ・ガソリン直噴エンジン/最高出力:136ps(100kW)/4400rpm/最大トルク:22.4kg-m(220N・m)/1250-4300rpm/トランスミッション:ステップトロニック付 8速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:17.2km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:(前)(後)225/50R17/メーカー希望小売価格:4,890,000円[消費税込み]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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