BMW 新型3シリーズディーゼル(F30・320d) 試乗レポート -2012年秋に日本導入!-/西川淳(2/2)
- 筆者: 西川 淳
328iと比べても優るとも劣らない、BMWらしいスポーツサルーン
今回、8ATとの組み合わせが実現したことも、日本導入を決めた大きな要因のひとつだろう。
試乗車にも8ATが組み合わされていた。ちなみに、6MT仕様よりも8AT仕様の方が、CO2排出量が低い。それぞれ、118g/km、117g/kmという2リッタークラスのガソリン車ではまずお目にかかれないクリーンな数値となっている。
BMWといえば、未だ官能的なエンジンフィールというイメージが強い。だから、正直に言うと決して静かではないディーゼルエンジンの目覚めを3シリーズのコクピットで聞いた瞬間、何だか妙な気分になった。“BMWらしく走ってやろう!”という盛り上がった気分が削がれてしまったように思えたからだ。
ところが・・・。
走りはじめた途端に、320dは328iと比べても優るとも劣らずBMWらしいスポーツサルーンだという確信に至ったのだ。
やはり、なによりも立ち上がりトルクの分厚さと瑞々しさである。ガラガラッという不快な音は最初だけで、最大トルクを出して路面を勢いよく蹴る頃には、ほとんどディーゼルであることを感じさせない。それでいて、盛り上がった大きなトルクの波に後からさらわれるような加速に見舞われる。
このフィーリングを一度味わってしまうと、大排気量でもない限り、なかなかガソリンエンジンには戻れそうにない。
最新式ディーゼルエンジンにしては多少、エンジン回転に荒々しい点も見受けられたが、その代わりにディーゼルにしてはよく回ってくれるし、力の出方もコントロール性に優れたものだ。
それゆえだろうか、サーキットで乗ってみても存分に楽しめた。立ち上がり加速が鋭いため、ガソリンの328iより320dの方が面白いと思ったほどだ。もっとも、高回転域への伸びとパワーのツキは、ガソリン車に及ばないが。
もちろん、ハンドリングを含めてクルマ全体としてのスポーツ性や街乗りにおけるコンフォート性の高さは、ガソリン仕様と何ら変わらない。だとすれば、高い実用性と経済性、そしてライバル以上のスポーツ性を有した320dは、このセグメント最良の選択肢となっても、おかしくはないであろう。
個人的には、320dのツーリングボディこそ、究極の輸入実用車だと思う。
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