実用性と後輪駆動の楽しさを併せ持つBMW 新型118i(3気筒1.5ターボ)試乗レポート(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
ミニクーパーなどと同タイプの直列3気筒1.5リッターターボエンジン
1シリーズの現行型は2011年に発売されたが、2015年8月にマイナーチェンジを実施して、118iのエンジンを直列4気筒の1.6リッターターボから、直列3気筒の1.5リッターターボに
切り替えた。120iは従来と同じ1.6リッターターボ、M135iも直列6気筒3リッターのターボで変更はない。
118iが新たに搭載した直列3気筒1.5リッターターボは、BMWが手掛けるミニクーパーなどと同じタイプだ。動力性能は最高出力が136馬力(4400回転)、最大トルクが22.4kg-m(1250~4300回転)で、この数値もミニと等しい。
従来型の1.6リッターターボは、136馬力(4400~6450回転)/22.4kg(1350~4300回転)であった。現行型は排気量は小さくなっても性能はほぼ同じだが、実用回転域の駆動力は1.5リッターターボが若干勝る。
充実した人気の装備に、不満の無い動力性能
118iスタイルには、118iスタンダードの装備に加えて、緊急自動ブレーキや車線逸脱警報などの機能を備えたドライビングアシスト、ブレーキ機能の付いたクルーズコントロール、LEDヘッドランプ、16インチアルミホイールなどが備わる。人気の装備を充実させた。
そして新しい118iで関心が高いのは、直列3気筒エンジンの回転感覚だろう。低回転域(1200~1500回転くらい)で巡航している時にアクセルペダルを少し踏み増すと、ややゴロゴロとした振動が伝わる。気になるか否かはドライバーの感覚で変わるが、BMWは伝統的に滑らかな運転感覚を特徴としてきた。そこを重視すると、3気筒の回転感覚はいまひとつだから注意したい。
走行安定性も良好だ。全高は1440mmと低めで、4340mmの全長に対してホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2690mmと長い。このような数値上の有利もあって、4輪の接地性が優れる。全長が4400mm以下の5ドアハッチバックでは、走行安定性はトップ水準だろう。
背景には後輪駆動方式の採用もある。前後輪の荷重配分はほぼ50:50とされ、旋回時を含めて荷重の加わり方もバランスが良い。操舵感も緻密な印象で、小さな舵角から正確に向きを変える。
これらの特徴は、3シリーズなどBMWの上級車種にも通じている。価格差を考えると、1シリーズでは得した気分を味わえそうだ。
乗り心地は少し硬めで、路面の状態によっては粗さも感じる。設計の古さを意識させるが、前述の優れた運転感覚と引き替えと考えれば納得できる。
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