ベントレー ミュルザンヌ 試乗レポート(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:ベントレーモーターズジャパン
ミュルザンヌは、上質な、おそろしく手間が掛かったインテリアを持っている。もちろん、手間が掛かっているのはインテリアだけではない。
ボディはスチール製を基本に、軽量化のために要所毎にアルミが用いられ、成形には熟練工員による手作業の工程も少なくない。
ボディカラーは標準で115色(オプションは、また別!)、インテリアの革は17種類から選ぶことができる。お仕着せられるのではなく「選べる」ということが贅沢なのである。
最新のインフォテイメントも充実していて、その中心を司っているのが、60GBのハードディスクコントロールユニットだ。i-Podを収めるための専用トレイも設けられている。
新型ミュルザンヌの技術的ハイライトのひとつである気筒停止システムに注目して運転してみたが、ショックも皆無で、体感することはできなかった。
巡航態勢に入ったとクルマが判断すると、6.75リッターV8エンジンの半分の4気筒を休ませる。それによって約2割の燃費を軽減できるという。
エアサスペンションとステアリングは統合制御され、オートマチックトランスミッションは8速化され、パドルが付いた。トルクが1,020Nmもあるから、回転を上げなくても、どこからでも力強くスムーズに加速する。パドルで変速しなくても、巨大トルクによって極めて滑らかに加速を終えてしまう。
走行モードは、スポーツ、ベントレー(ノーマルのこと)、コンフォートと3通りから選べるが、ベントレーが最も守備範囲が広く、快適だった。
重厚でありながら、かつてのアルナージよりも確実に軽快感がある。
ミュルザンヌは、大量生産のクルマとは一線を画する、きわめて入念に作られた、超上質なクルマだ。他と比較することなく、その独自の世界を享受したい。
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