アウディ TT RSクーペ 試乗レポート(1/2)

アウディ伝統の5気筒エンジンが復活

アウディTTクーペに最強版が登場した。その名は「TT RSクーペ」。

TTクーペには、すでに「TTロードスター」というコンバーチブルと「TTSクーペ」という72馬力パワーアップされてサスペンションも強化した強力版がラインナップされていたが、今度は“S”のさらに上をいく“RS”だ。

TT RSクーペは、ただの2段増しパワーアップ版ではない。アウディの超性能車だけを製作する「クワトロGmbH」社から送り出されてくる、スペシャルな一台なのである。クワトロ社とは、ちょうどメルセデス・ベンツに対するAMG、BMWのMスポーツ社のような存在だ。

TT RSクーペを前にしてしばらく眺めていると、見慣れたTTクーペやTTSクーペとの違いが眼に入ってくる。

まずは、19インチホイール。18インチのTTSでも大径に見えたのに対して、19インチは十分以上の迫力を醸し出している。フロントグリルにはTT RSのエンブレム、リアには固定式の大型スポイラーがそびえ立っている。

TTとTTSが速度の上昇とともにボディからせり上がってくる可変タイプなのに対し、TT RSのそれはかつてWRC（世界ラリー選手権）を席巻した「スポーツクワトロ」を彷彿とさせるデザインだ。サイドに大きく張り出したところが似ている。

TT RSクーペの最大の技術的ハイライトは、エンジンにある。TT RSクーペのために開発された2.5リッター直列5気筒だ。

奇しくも、「スポーツクワトロ」も当時としては非常に斬新な直列5気筒エンジンを採用していた。

TT RSクーペのエンジンは最近のアウディの技術トレンドに沿って、ガソリン直噴にターボチャージャーが組み合わされ、最高出力は340馬力。最大トルクは45.9kgmを発生している。

停止から100km／hまでに達するのに、4.6秒しか要さない。これは、ポルシェ・911カレラ4Sの6段マニュアル仕様よりも0.1秒速い。

アウディのハイパフォーマンスカーの技術的象徴である「クワトロ」4輪駆動システムや、専用チューニングされたスプリングやダンパーを用いたスポーツサスペンションなども採用されている。