フルモデルチェンジしたA4、間もなく日本導入へ/新型「アウディ A4」海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:アウディジャパン
新しいアウディA4はちょっと保守的!?
「新型アウディA4って、ちょっとコンサバじゃない?」
ヴェネツィアで開かれた新型「アウディ A4」国際試乗会のプレゼンテーションを聞きながら私はそう感じていた。
もちろん新技術も用意されているけれど、ボディはアルミじゃなくスチール製だし、ドライブトレーンは従来のアウディと同じダウンサイジングターボ+デュアルクラッチ・トランスミッション(アウディはSトロニックと呼ぶ)が多数派だし、シャシーはリアサスペンションの形式が変わったもののそれだって革新的といえるほどのものじゃない。極めつけはデザインで、写真でちらっと見ただけでは現行型からどこがどう変わったのか即座に指摘できないくらいよく似ている。
“Vorsprung durch Technik”=「技術による先進」を標榜するアウディにしては、ちょっと物足りない内容と思われても仕方ないだろう。
実車をマジマジと見てみると・・・その先進性を実感できる
そんなわけでちょっとテンション低めで試乗車と対面したのだけれど、その第一印象は、最初に写真で見たときとはずいぶん異なるものだった。
遠くから眺めるとシンプルな直線で構成されているように思えるけれど、間近で見ると細部が立体的に仕上げられていたり、ボディサイドに刻まれたプレスラインはこれまでよりさらにシャープに仕上げられているため、写真とはずいぶん違って見えるのだ。
こうしたていねいな作り込みがクルマの隅々まで行き渡っているおかげで、ぱっと見た目には代わり映えしないように感じられても、じっくり観察するとジワジワと印象が変わってくるのだろう。
端的にいって、新しくて、高級感があって、冷徹さと温もりの両方が表現されたデザインに仕上がっているのだ。
熟成を重ね続けることで、美を極めていくアウディデザイン
そういえば、以前アウディに在籍していた日本人デザイナーの和田サトシさんは、かつてこんなことを私に話してくれた。
「アウディのデザインは、いつも先代モデルを出発点とします。つまり、先代が到達した地点から作業を始めるので、モデルチェンジごとにゼロからデザインをスタートさせる日本車の多くに比べると、完成度をどんどん高めていきやすいのです」
言い換えれば、熟成に熟成を重ねて美しさを極めていくのがアウディ・デザインの基本。そう考えながら新型A4を眺めていると、そのピュアなスタイリングにグイグイと引き込まれてしまいそうになるから不思議なものである。
[乗れば乗るほど、その進化ぶりに驚かされる!・・・次ページへ続く]
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