フツーを装っていてもタダならぬオーラは隠せない! アウディ 新型RS5に試乗(1/2)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂 幸正/和田 清志
アウディA5とは似て非なる存在、 ”4人乗りのスーパーカー”RS5に乗った!
アウディがRSモデルを出すのはモデルライフの中盤以降という印象があったが、最新のRS5クーペは意外と早くその姿を現した。
現行世代のアウディは従来型からあまり大きくイメージを変えないのがお約束であることは、むろんRS5クーペも同様。とはいえ往年の「アウディ クワトロ」を彷彿とさせる、標準のA5に対して全幅を15mmワイド化したブリスターフェンダーや、そこに収まる大径20インチタイヤ&ホイールをはじめ、RSモデル専用のシングルフレームグリルやハニカム構造のエアインレット、各部に配されたシルバーのアクセント、楕円形のテールパイプやスポイラーリップなどにより、タダモノではない雰囲気に満ちているのは見てのとおりだ。
パフォーマンスを向上させながら、環境性能もアップした新型V6エンジン
アルミニウムのデコラティブパネルやバックスキンを各部に配したインテリアは鮮烈な赤のステッチも印象的。身体を包み込むようなホールド感を提供するファインナッパレザーのSスポーツシートも、RSモデルならでは。あくまでさりげなく、それでいてこれまたタダモノではない雰囲気を漂わせる。
パワートレインには大きな変更があり、これまでの4.2リッターV8自然吸気エンジンに代えて、新設計の2.9リッターV6バイターボエンジンが与えられることとなった。トランスミッションはDCTのSトロニックではなく、S5と同じくトルコンATの8速のティプトロニックとなる。
RS5のようなハイパフォーマンスモデルにも効率が求められる今の時代に相応しく、これにより約17%(欧州計測公表値)も燃費を向上しながらも、パフォーマンスはさらに向上している。450ps(331kW)の最高出力は、S5に対して約100ps、A5の2.0TFSIに対して約200psも高い。最大トルクも従来型比で170Nm増となる600Nmに達しており、これまたS5比で100Nm、A5 2.0TFSI比では230Nmも、それぞれ高い数値となる。0-100km/h加速タイムも3.9秒というからかなりのものだ。
スーパースポーツ並みの性能をクーペルックに閉じ込めた
スーパースポーツに比べるとずっと控えめなルックスながら、性能はスーパースポーツなみ。それらスペックから期待するとおり、ドライブするととてもパワフルであることが、まず印象的なのはいわずもなが。1900~5000rpmという幅広い回転域で最大トルクを発生させているだけあって下から非常に力強く、レッドゾーンの始まる6500rpmを超えて、7000rpm近くまで勢いを衰えさせることなく伸びやかに吹け上がる。
加えて過給機付きエンジンとは思えないほどの鋭いレスポンスにも驚かされた。これにはVバンクの間に配置された2基のターボチャージャーを経て燃焼室にそれぞれに最適に空気を導くデュアルブランチシステムも効いているはずで、まさしく「どこからでもついてくる」という表現がピッタリの、極めてシャープなレスポンスを実現している。
野太く迫力あるエキゾーストサウンドもこのクルマの魅力のひとつ。V8からV6になってもRSモデルとして期待される味わいはしっかり受け継いでいて、物足りなさを感じることはない。ダイナミックモードを選ぶと、アクセルオフ時にもレーシングカーのような音をたてる演出もある。
この記事にコメントする