アウディ R8 スパイダー 試乗レポート/小沢コージ(4/4)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:オートックワン編集部
2カ国語ぐらい喋れないと…
というわけで変な話だが、私は似合う人があまりいないからこそ、R8スパイダーは素晴らしいし、価値があるんだと思う。今どきかなりのスーパーカーブランドでも、客に対する媚びというか、過去の歴史を引用して、「買ってくれ」と訴えているのが見え隠れするが、R8、特にスパイダーにはその姿勢はみられない。
もちろん、予想以上に乗りやすいし、便利だし、ことによったら毎日使えるスーパーカーかもしれない。が、製品の姿勢としては「買える人が買ってくれ!」「趣旨に賛同したらどうぞ」と言っているようで、そのプライドは高い。
そもそも個人的にはスーパーカーは幻想を売るもの、と思っている。要するに実用ではなく、精神性を売るものなのだ。その点、R8は今までに無い、全く新しい存在になり得ている。なかでもこのスパイダーはそうだ。
R8スパイダーに乗るためには、無駄に太ってちゃいけないし、仕事が出来なきゃいけないし、稼いでなければいけないし、最低でも2カ国語か3カ国語しゃべれないとダメな気がする。要は「美しき成功者」でなければ似合わないし、受け付けない。
事実、不肖・小沢には完璧にオーバースペックだった(苦笑)。だが、それこそ本来スーパーカーに与えられた役割だと思うのだ。誰でも買えるスーパーカーなんて本当のスーパーカーじゃないし、才能があり、がんばった人だけが似合うのもいいではないか。
乗る人に性能以上に「美意識」や「責任」で挑戦する、それもまた現代的なスーパーカーの1つの在り方だと思う。そうでなくても、世界的リーダー、世界的カリスマが減っているニッポン。
R8スパイダーに似合う人がもっといっぱい出て欲しくはないだろうか。その存在で若者を煽って欲しくないだろうか。美しき勝者のためのクルマ。私も似合うようになりたいものだ。
これに似合うニッポン人、出でよ!
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