アウディ A5カブリオレ 試乗レポート/松田秀士(2/3)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:原田淳
オープンだから、という言い訳を感じさせないハンドリング
オープンカーの走行性能で気になるのは、ボディの剛性がどれほどしっかりしているかだ。
A5カブリオレのようにベースモデルがクローズドボディの場合、比較対象がはっきりしているから尚更しっかり感が問われることになる。
BピラーもCピラーも持たないAピラーのみで、しかも支えるルーフがないのだから蓋を開けた段ボール箱のようにワナワナとするのが過去のオープンの常識だった。
つまり、リアリティとバーチャリティを手に入れた代わりに、多少ボディの安っぽさは当たり前のように受け入れられてきたのだ。
しかし、今は違う。オープンであっても衝突安全性を含めたボディのしっかり感はベースモデルと同等のものが要求される。現在のオープンモデルの商品価値とは、このようなことを達成した上でさらにナニがあるのか、だ。
そこでA5カブリオレの商品価値とは、やはりアウディのフルタイム4WDシステムであるクワトロにあるだろう。
A5カブリオレでは通常リヤ60%:フロント40%という、ここ最近のアウディの流れを汲む駆動配分にすることによりスポーティーで自然なハンドリングを実現している。
さらに、オプションのアウディドライブセレクトを装備すれば、センターコンソールのボタンをセレクトすることでコンフォート/オート/ダイナミックの3モードにサスペンションの減衰力・Sトロニックのシフトモード・ステアリングのクイック度・スロットルレスポンスが変更される。
また、この3種類を自在に組み合わせることの出来る第4のモード、インディビジュアルがプラスされ、合計4種類を選ぶことが出来るのだ。
このアウディドライブセレクトを装備すれば、速度に応じてステアリングレシオを可変するダイナミックステアリングがセットとなり、ESPと協調することで横滑り防止装置としての機能が一段とアップする。その走りは、オープンだからという言い訳は全く感じさせないスポーティーなものだ。
また、オープンモデルにありがちな開閉によるハンドリングの違い。オープン時とクローズド時ではルーフの重量が移動するので、それによる走りの違いが生じるのだが(特にメタルトップ)、ほとんどその差を感じさせないところも完成度が高いといえる。
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