アウディ A3 スポーツバック 試乗レポート

アウディ A3 スポーツバック 試乗レポート
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アウディが提唱する「スポーツバック」とは。

フロントビューリアビュー

同じドイツ発のメルセデス・ベンツとBMWという“両巨頭”に何とか肩を並べるべく、これまで様々な手法でプレミアム・イメージの高揚化に邁進してきたアウディ。そんなアウディがアピールする最新のボディ形態がこの『スポーツバック』という事になる。なるほど、単に5ドア・ハッチバックと表現するのと比べるとどこか“特別感”が漂うのがこのスポーツバックなるフレーズ。最近のアウディは確かにイメージづくりが上手い…。

もっともそうは言っても、ハードウェア的には「当初3ドア・モデルのみで登場したA3の5ドア版」という事になるのがこのクルマ。ただし、アウディとしてはやはりそのようには認知をして欲しくないという事だろう。昨今得意のシングルフレーム・グリルやクォーターピラー前部に設けられた“第3のサイドウインドウ”など、3ドア・モデルには採用されなかったアイテムをこちらにのみ用いて、「独立した新車種」という雰囲気を醸し出すのに懸命だ。

デザインも独特「スポーツバック」

インテリアフロントシート

アウディ A3 スポーツバック インテリア アウディ A3 スポーツバック フロントシート ホイールベースは同寸でありながら4285mmというボディ全長は3ドア・モデルの70mm増し。前述のようにクォーターピラー前部に“第3のサイドウインドウ”を設けたいわゆる6ライトのグラスエリアを備える事で、ちょっとばかりミニ・ワゴン風に見えるのもこのスポーツバックの佇まいの特徴でもある。

インテリアのデザインは基本的に3ドア・モデルのそれを受け継いでいるが、ステアリング・ホイールのセンターパッド部分のデザインは両者で大きく異なるもの。スポーツバックのそこには、例のシングルフレーム・グリルを反復させた最新のアウディを象徴するデザインが誇らしげに採用されているのだ。

アウディらしい上質さでまとめられた室内は、大人4人にとって十分な広さ。基本骨格を共有するVWゴルフに比べると全高はグンと低いのだが、天井部分の造形が“ドーム型”のために後席でも頭上空間に不満はない。「アウディらしいエレガンスを表現するために全高は抑えめにした」といいつつ、なかなか賢いパッケージングの持ち主でもあるのだ。

名前負けしない、スポーティな走り

エンジン走り

日本でのスポーツバックのバリエーションは3タイプ。2L 4気筒の150ps直噴エンジン仕様にそのターボ付きである200ps仕様。そして250psを誇る3.2LのV型6気筒仕様という展開。3ドア・モデルには存在する1.6L・モデルを導入しないのは、やはり「単なる5ドア版ではなく、よりプレミアムでスポーティなモデル」というメッセージ性を強調したいという意図もあるはずだ。そして実際、どのモデルに乗ってもスポーツバックはなかなか良く走ってくれる。

実用面からすればターボ無しの2L、すなわち『FSI』グレードでも十分な印象。6速ATがきめ細かなシフトを繰り返してエンジンの発する出力を無駄なく引き出してくれるので、よほど強力な加速を望まない限り不足感は皆無だ。が、それでもターボ付きの『TFSI』に乗り換えると「やっぱりこちらが欲しくなる」と思ってしまうから人間とは欲張りなもの。エンジントルクが強力で全般に低めのエンジン回転数が多用出来るため、静粛性も『FSI』より一枚上手だ。

唯一4WDシャシーと組み合わされる『クワトロ』は、さすがにどんな時でも強力無比な印象。『TFSI』と共に採用の2ペダル式MT“DSG”が生み出すシームレスな加速フィールが、“スポーツ”というよりはむしろ“高級”なテイストを醸し出す。

アダルトな「スポーツバック」

リアシートラゲッジ

そのネーミングからもベースの3ドア・モデルよりも高いスポーツ性の持ち主である事をアピールしたいと思える『スポーツバック』。だが、実際に触れてみるとそれはむしろこのクラスきっての“高級車”であるように感じられた。それは例えば、もはや「ゴージャス」と表現をしても良さそうなインテリアの雰囲気や、常にどっしりと落ち着いたハンドリング感覚などに顕著に感じとる事が出来る。その一方で見方を変えれば、その分軽快感は意外なまでに希薄と言えそうでもある。例えば、同クラスに新規参入のBMW1シリーズと同時に乗り比べてみると、「スポーツバックのつもりで1シリーズに乗ると、ステアリングが切れ過ぎて驚いてしまうくらい」と言っても良いほど。少なくとも、アウディとBMWでは『スポーツ』という言葉の解釈はかくも異なるというわけだ。

そう、A3スポーツバックをひと言で表現すると「このクラスでは飛び切り上等な一台」と言うのが当たっていそう。アウディの語る『スポーツ』とは、とことん“大人のスポーツ”なのである。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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