アウディ A1 スポーツバック 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
ああ悩ましい! 多彩過ぎるオプションリストを用意
アウディ A1スポーツバックのグレードは、3ドアのA1と同じく1タイプのみだが、複数のパッケージオプションが設定される。本革シートを備えた「レザーパッケージ」、スポーツタイプのサスペンション/シート/16インチタイヤなどを備えた「スポーツパッケージ」を始め、HDDナビなどをセットした「MMI 3G Plus」、「BOSEサラウンドサウンドシステム」など、好みや嗜好に応じて多彩な選択が可能なのは、コンパクトカーとはいえさすがにプレミアムカー。このあたりの考え方は、ライバルのMINIと近いものを感じる。
外装色では、A1と同様、ツートーンのカラーを幅広く選べることが魅力だ。A1ではピラー(ルーフを支える柱)とルーフの側面部分のみを色分けするが、A1スポーツバックでは、ピラーとルーフを含めたボディの上側全体が色分けされる。
大半の組み合わせでルーフはシルバーになるが、ボディの下側がミラノレッドとシルバーの場合はルーフがブラック、下側がホワイトならルーフをグレーにするなど、配色にもこだわりが見られる。アウディ A1スポーツバックを買うなら、ボディカラーの選択は実に悩ましいところだろう。
内装のデザインも基本はA1と同じ。インパネにはソフトパッドとメッキ処理が多用され、ボディは小さくてもアウディの質感を備える。水平基調の配置で、左下のエアコンスイッチも操作がしやすい。メーターは大径で視認性は良好だ。オプション設定となるHDDナビのモニター画面は、格納式でインパネの上部からせり上がる。
室内スペースはミニマムだが、十分に実用にも耐えうる
フロントシートはサイズを十分に確保し、オプションのスポーツシートでなくとも十分に乗員を包み込む。全高が1440mmと低いから、座面を上下させるリフターで着座位置を上げ過ぎると、頭上の空間が不足し視野の上部にサンバイザーが入り込むので注意。しかし調整幅は大きいから、運転姿勢自体に無理は生じないし、大柄な男性から小柄な女性まで対応する。
リアシートは、3ドアに比べて頭上に余裕を持たせたが、身長170cmの乗員が座ると、天井との間隔は手のひらが収まる程度だ。小柄で背の低い5ドアハッチバックとあって、余裕があるとはいい難い。着座位置も低めで膝が持ち上がり、身長170cmの大人4名が乗車すれば、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ1つ半。このあたりはフォルクスワーゲンのポロと同様でちょっと狭めだ。
それでも、座面の前方を持ち上げたから大腿部が離れにくく、フロントシートの下に足が収まる。全長わずか4m以内という厳しい制約の中でも、居住性の向上を図っている点は評価したい。欲を言えばもう少し座面を柔軟に仕上げ、バックレストを若干寝かせると、後席の快適性ももう少し向上するだろう。
ともあれ空間はミニマムだが、夫婦+小さい子供1人か2人くらいの若いファミリー、例えば後席にチャイルドシートを取り付け夫婦は前席へ、後席はたまに祖父・祖母が・・・というくらいの使い方なら、これで十分に実用にも耐えうるだろう。
プレミアムブランドが「プレミアム」である理由
細かな点ながら注目させられたのは、リアゲートを開いた時のためのテールランプが装着されていたこと。
一般的にはテールランプを2分割して、ターン/ハザードランプの部分は持ち上がらないが、A1スポーツバックは、テールランプに切れ目のないスッキリしたリアビューを大切にしたのだろう。テールランプ全体がリヤゲートと一緒に持ち上がり、内側に装着されたハザードランプが車両後方の注意を促す凝った造りとした。
このようにアウディ A1スポーツバックは、デザインに対するこだわりが徹底している。ひとつひとつは些細なことだが、こうしたことの積み重ねこそが、プレミアムブランドの「プレミアム」たる所以だろう。
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